当事者の申立、主張等に矛盾する点があるとか、不明確な点があるなど特別の事情のないかぎり、裁判所は、必ずしも、釈明権を行使する職責を負うものではない。
釈明義務の基準。
民訴法127条
判旨
裁判所が釈明権を行使すべき職責を負うのは、当事者の申立てや主張等に矛盾や不明確な点があるといった特段の事情がある場合に限られる。
問題の所在(論点)
民事訴訟における裁判所の釈明義務の有無およびその範囲(旧民事訴訟法127条、現行民事訴訟法149条)。
規範
裁判所は、当事者の申立てや主張等に矛盾する点がある、あるいは不明確な点があるなどの特別の事情がない限り、必ずしも釈明権を行使する職責を負うものではない。
重要事実
上告人は、相手方との間で売買の一方の予約が成立したと主張したが、原審はその成立を認めなかった。上告人は、原審が特定の点について釈明権を行使しなかったことが違法であるとして上告した。
あてはめ
本件においては、当事者の主張に矛盾や不明確な点があるといった「特別の事情」は認められない。したがって、原審が所論の点について釈明を行う必要がないことは明らかであり、釈明権の不行使に違法はないと解される。
事件番号: 昭和38(オ)936 / 裁判年月日: 昭和40年11月25日 / 結論: 破棄差戻
手附倍戻しにより売買契約が解除されて終了したと主張して右売買契約が存在しないことの確認を求める訴は、文言どおり解すれば、過去の法律関係の確認を求めるのと異なるところがないが、右売買契約が解除された結果生ずべき現在の権利または法律関係について直接に確認または給付を求める趣旨が窺えないでもないから、原審としては、右請求につ…
結論
釈明権を行使すべき特別の事情が認められない以上、裁判所は釈明義務を負わず、原判決に違法はない。
実務上の射程
当事者の主張が明確で矛盾がない場合には、裁判所の釈明義務は限定的である。実務上、釈明義務違反を主張する際には、主張の矛盾や不明確さを具体的に指摘する必要がある。
事件番号: 昭和29(オ)225 / 裁判年月日: 昭和31年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買の予約成立と予約完結権の行使は別個の概念であり、それらを混同して判決の不備を主張することは、上告理由となる重要な法令解釈の主張には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原審における事実認定を非難するとともに、売買予約の成立と予約完結権の行使を混同した独自の解釈に基づき、原判決には理由の齟齬…
事件番号: 昭和28(オ)1157 / 裁判年月日: 昭和29年10月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律(当時)の規定に基づき、単なる訴訟法違反や事実誤認の主張は上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に対し、訴訟法違反や事実誤認、あるいはこれらを前提とする法令違反を理由として上告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):上告人…