判旨
先行する逮捕手続に憲法違反の違法があったとしても、その後の逮捕・勾留手続が法定の要件を満たして適法になされている限り、当然に爾後一切の手続が違法となるわけではない。
問題の所在(論点)
先行する逮捕手続に憲法違反等の違法が存在する場合、その後に適法な手続によってなされた再逮捕や勾留、さらには公判手続等を含めた爾後一切の手続が当然に違法となるか。
規範
先行する身体拘束手続に違法がある場合であっても、その後の逮捕・勾留手続が刑事訴訟法所定の手続を適法に履んでなされているのであれば、先行手続の違法が当然に後続手続の効力を否定し、爾後一切の手続を違法にするものではない。
重要事実
被告人Aは、昭和24年12月20日に逮捕されたが、弁護人はこの逮捕が憲法に違反する違法なものであると主張した。その後、昭和25年1月12日に司法警察員が緊急逮捕の手続をとり、裁判官から逮捕状を得た。さらに、翌13日には勾留状が適法に発布され、その執行が完了した。弁護人は、最初の逮捕の違憲性を理由に、その後の全手続の違法を訴えて上告した。
あてはめ
本件において、仮に昭和24年の逮捕手続に憲法違反があったとしても、その後に改めて行われた緊急逮捕は刑事訴訟法210条等の規定に従い、裁判官の発付した逮捕状に基づき適法に行われている。また、その後の勾留についても、翌日に適法な勾留状の発布・執行がなされており、これら後続の手続自体に瑕疵は認められない。したがって、先行する逮捕の違法性は後続の適法な逮捕・勾留の効力に影響を及ぼさず、一連の手続を違憲・違法と評価することはできない。
結論
先行手続の違法は当然には後続手続に及ばない。適法な手続による逮捕・勾留がなされている以上、被告人に対する手続に違法・違憲はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
違法収集証拠排除法則や違法な逮捕に続く勾留の効力が議論される際、手続の連鎖の遮断を示す初期の判例として機能する。もっとも、現代の実務・学説では「違法の承継」や「違法捜査の抑制」の観点から、先行手続の違法が重大な場合には後続の勾留や公訴提起が却下される可能性も否定されないため、本判旨は手続が独立している場合の原則論として引用すべきである。
事件番号: 昭和26(あ)4697 / 裁判年月日: 昭和28年5月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】起訴状に記載のない事実について審判を行うことは、刑事訴訟法の規定に反する違法なものとなるが、判決が証拠に基づき適法に認定した事実の範囲内であれば、不告不理の原則に反しない。 第1 事案の概要:被告人が刑事事件で起訴され、第一審判決において有罪判決を受けた。弁護人は、第一審判決が起訴状に記載のない事…