判旨
刑訴応急措置法13条2項(現行の刑事訴訟法においても同様の趣旨が引き継がれている証人尋問における供述録取書の証拠能力等に関する規定)は、憲法37条1項が保障する公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利に違反しない。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法の応急的改正として制定された「刑事訴訟法応急措置法」13条2項の規定が、憲法37条1項に違反するかどうか、また新刑事訴訟法施行後においてもその判断が維持されるべきかが問題となった。
規範
憲法37条1項は「被告人は、いづれの刑事事件においても、直ちに公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する」と規定しているが、刑事訴訟の具体的な手続を定めた法律が、一定の条件下で書面による証拠調べを認めることは、公正かつ迅速な裁判を実現するための合理的な制限として、同条項に違反しない。
重要事実
被告人が刑事事件において上告を提起した際、弁護人が刑訴応急措置法13条2項(公判準備または公判期日における証人その他の者の供述を録取した書面の証拠能力等に関する規定)について、憲法37条1項の保障する「公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利」を侵害する憲法違反であると主張して争った事案である。
あてはめ
最高裁判所は、既に出されていた大法廷判決(昭和23年6月30日判決)を引用し、当該規定が憲法37条1項に違反しないことを確認した。さらに、この憲法上の判断は、新刑事訴訟法の施行によって影響を受けるものではなく、法律の形式的変更があっても憲法適合性の判断は左右されないと判示した。したがって、書面による供述録取の証拠採用を認める手続は憲法違反には当たらないと解される。
結論
刑訴応急措置法13条2項は憲法37条1項に違反しない。したがって、本件上告は理由がなく棄却される。
事件番号: 昭和26(れ)1437 / 裁判年月日: 昭和27年2月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所の裁判」とは、偏頗や不公平のおそれのない組織と構成をもつ裁判所による裁判を意味する。 第1 事案の概要:被告人が物価統制令違反等に問われた事案において、弁護人は、原判決が憲法25条(生存権)や憲法37条1項(公平な裁判所の裁判を受ける権利)に違反する旨を主張し…
実務上の射程
伝聞例外や証拠法に関する憲法適合性の議論において、憲法37条1項や2項(対向尋問権)との関係で合憲性を基礎づける際の先例として活用できる。特に、迅速かつ公正な裁判の実現という観点から、適正な手続法規による証拠制限が許容されることを示す射程を持つ。
事件番号: 昭和23(れ)841 / 裁判年月日: 昭和23年12月4日 / 結論: 棄却
憲法第三七條第一項にいわゆる「公平な裁判所の裁判」とは、偏頗や不公平のおそれのない組織と構成をもつ裁判所の裁判を意味するものであつて、個々の事件について具體的に構成妥當な裁判を指すものではない(昭和二三年六月九日言渡昭和二二年(れ)第一三八號事件參照)。從つて、假りに、所論のように言渡された刑が他の同種内容の事件と比較…
事件番号: 昭和26(れ)2072 / 裁判年月日: 昭和26年12月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁護人が自ら証拠申請を抛棄し、それが被告人の意思に反しない場合、裁判所が当該証人の尋問を行わずに審理を終結しても憲法37条2項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人は、原審(控訴審)において当初予定していた証人の証拠申請を自ら抛棄した。記録上、この証拠申請の抛棄が被告人本人の意思に反して…
事件番号: 昭和26(れ)1174 / 裁判年月日: 昭和26年9月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項に基づき、上告適法の理由にはならない。 第1 事案の概要:被告人が犯した罪の量刑が重すぎるとして、弁護人が上告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):量刑不当の主張が、法的に適法な上告理由として認められるか。 第3 規範:上告審において量…
事件番号: 昭和25(れ)1587 / 裁判年月日: 昭和26年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法下における上告において、被告人の主張が単なる事実誤認及び量刑不当に帰する場合、当時の特別法(刑訴応急措置法)に基づき、適法な上告理由にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人が原審の判断に対して不服を申し立て、上告を提起した。しかし、その主張の内容は、原判決の認定した事実が誤っていると…