判旨
公判が15日以上開廷されないまま更新されなかった手続の適法性、および麻薬取締規則施行前の所持が適法であっても施行後に免許なく所持する行為が刑罰の対象となるかが争われ、いずれも適法と判断された。
問題の所在(論点)
1. 15日以上の開廷停止があった場合に公判手続を更新せずに審理を行った手続は適法か。2. 麻薬取締規則施行前から麻薬を所持していた場合、施行後に免許なく所持を継続する行為に同規則を適用して処罰できるか。
規範
1. 旧刑事訴訟法事件における公判手続の更新は、15日以上の開廷停止があった場合でも、裁判所が必要と認める場合に限って行えば足り、必ずしも必須ではない。2. 法令の施行により新たに禁止された行為については、施行以前の所持が適法であったとしても、施行後に免許等の資格を欠く状態で継続して所持する行為は、当然に処罰の対象となる。
重要事実
被告人AおよびBは、昭和21年6月19日から翌年4月16日までの間、麻薬取扱者の免許を受けないまま麻薬を所持・使用した。原審は、昭和24年9月2日の第1回公判後、15日以上経過した同年10月21日に第2回公判を開いたが、公判手続の更新を行わずに審理を継続した。被告人側は、手続の更新がない点、および規則施行以前からの所持は適法であるはずとの点を理由に上告した。
あてはめ
1. 手続面については、刑訴規則施行規則3条3号に基づき、裁判所が必要と認めない限り更新は不要である。本件原審が更新の必要性を認めなかった判断に憲法上の問題や違法はない。2. 実体法面については、被告人が麻薬取扱者の免許を受けていない事実に照らせば、仮に規則施行前の所持が適法であったとしても、施行後の所持を正当化する根拠にはならない。また、規則42条の除外規定に施行前からの所持者は含まれておらず、免許なき所持は同規則違反を構成するといえる。
結論
原審の手続に違法はなく、施行後の無免許所持および使用を処罰した判断は正当であるとして、上告を棄却した。
事件番号: 昭和27(あ)5837 / 裁判年月日: 昭和28年6月18日 / 結論: 棄却
麻薬取締規則第五六条第一項第三号、第五九条は麻薬所持者に対し、その所持をつづける限りその届出を要求しているのであつて、届出の日限は、単に届出義務を履行するための猶予期間たるに過ぎない。
実務上の射程
刑事手続における『更新』の裁量性と、禁制物の所持罪における法令変更・新設時の遡及処罰禁止原則との関係を整理する際の素材となる。特に、所持という継続的な状態に対する新法の適用については、施行後の状態を捉えるものであるため不遡及の原則に反しないことを示す実務上の指針となる。
事件番号: 昭和25(あ)1207 / 裁判年月日: 昭和26年5月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本決定は、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらない場合に上告を棄却する判断を示したものである。 第1 事案の概要:被告人および弁護人が上告を申し立てた事案。具体的な公訴事実や下級審の判断内容については、本判決文(決定文)からは不明である。 第2 問題の所在(論点):被告人および弁護人が主張する上告…
事件番号: 昭和25(れ)1774 / 裁判年月日: 昭和26年3月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が適法な召喚を受けながら正当な理由なく公判期日に出頭しない場合、弁護人が出頭して審理がなされたとしても、その審判手続に違法はない。 第1 事案の概要:被告人は、原審の第1回から第3回の公判期日に向けて、それぞれ数ヶ月から数週間前に適法な召喚状の送達を受けていた。しかし、被告人はいずれの期日に…
事件番号: 昭和26(あ)1649 / 裁判年月日: 昭和27年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として判例違反を主張する場合には、違反の対象となる判例を具体的に明示しなければならず、これを欠く場合は上告適法の理由にならない。 第1 事案の概要:被告人AおよびBが、原審の判決に対し上告を申し立てた事案。被告人Aの弁護人は判例違反を主張したが、具体的な判例の明示がなく、さらに刑訴法335…