判旨
行政処分における目的物の表示に誤記がある場合であっても、それが明白な誤記であって、処分の目的物が客観的に特定可能であれば、当該処分の効力は妨げられない。
問題の所在(論点)
行政処分の内容を表示する書面において、目的物の表示(地番)に誤記がある場合、当該処分の効力(目的物の特定性)に影響を及ぼすか。
規範
行政処分における目的物の表示に誤記がある場合であっても、書面全体から見てその記載が明白な誤記であり、かつ処分の対象となるべき客観的な目的物の特定性に欠けるところがないといえる場合には、当該処分の効力は有効に成立する。
重要事実
被上告人は、農地調整法に基づく買収および売渡処分を通じて本件農地の所有権を取得したと主張した。しかし、当該処分に係る買収計画書および売渡通知書には、地番の記載に誤りがあった。上告人は、この地番表示の不備を理由に、買収および売渡処分は無効であり、被上告人は所有権を取得していないと主張して争った。
あてはめ
本件における買収計画書および売渡通知書の地番記載は、原審の認定によれば明白な誤記である。また、その前後の経緯や関係書類を照らし合わせれば、買収および売渡の対象が本件農地であることについて、具体的な特定性に欠けるところはない。したがって、表示上の軽微な過誤にとどまり、処分の実体的な対象特定を妨げるものではないと評価できる。
結論
本件買収および売渡処分は有効であり、地番の誤記を理由とする無効主張は採用できない。
実務上の射程
行政行為の明確性の原則が問題となる事案において、表示の軽微な瑕疵(誤記)が処分の効力に影響しないことを示す。答案では、処分の対象が不明確であるとの反論に対し、客観的特定可能性の有無を判断基準として反論する際に引用できる。
事件番号: 昭和37(オ)1094 / 裁判年月日: 昭和38年10月4日 / 結論: 棄却
一、(省略) 二、必要でない。
事件番号: 昭和41(行ツ)4 / 裁判年月日: 昭和42年7月21日 / 結論: 棄却
地方公共団体の技術吏員は、知事から、その権限に属する事務の一部を特定して、委任をうけ、または授権された場合にかぎり、自己の名においてまたは知事を代理して、知事の権限を行使することができる。
事件番号: 昭和38(オ)824 / 裁判年月日: 昭和40年8月17日 / 結論: 棄却
一 自作農創設特別措置法による未墾地買収令書の交付に代わる公告において、地番の誤記等判示の事情があるため被買収地の表示が第三者の所有地を表示したものとみられ、それが容易に認識できる単純な地番を誤記とはいえないときは、右公告による買収処分は重大かつ明白な瑕疵を有し無効と解するのが相当である。 二 知事が所有者の開墾中の土…
事件番号: 昭和36(オ)1072 / 裁判年月日: 昭和37年7月12日 / 結論: 棄却
所有者の代表者の表示を誤つてした農地買収処分も無効ではない。
事件番号: 昭和33(オ)58 / 裁判年月日: 昭和34年12月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分における事実誤認、特に自作農創設特別措置法に基づく売渡処分における耕作者の認定に誤りがあったとしても、その処分が当然に無効になるとは限らない。 第1 事案の概要:自作農創設特別措置法に基づき、買収された農地が国(被上告人)から特定の者へ売り渡された。上告人側は、当該売渡処分において耕作者の…