民訴法五一二条ノ二第二項の強制執行停止決定に対し不服申立の方法を認めていない同条一項、同法五〇〇条三項は、憲法三二条に違反しない。
民訴法五一二条ノ二第一項、五〇〇条三項と憲法三二条
民訴法512条ノ2第1項,民訴法2項,民訴法500条3項
判旨
憲法32条は、最高裁判所が違憲審査権を行使する場を除き、具体的な審級制度の内容を立法府の裁量に委ねており、不服申立てを認めない法定の規定も同条に違反しない。
問題の所在(論点)
憲法81条が定める場合を除き、特定の決定に対して不服申立ての方法を認めない法律の規定が、憲法32条に違反するか。
規範
憲法は、81条に定める最高裁判所の違憲審査権に関する規定を除き、審級制度の具体的な内容については何ら定めていない。したがって、審級制度は立法府がその裁量によって適宜定めるべき事項である。
重要事実
民事訴訟法(旧法)512条の2第2項に基づく強制執行停止決定に対し、同条1項および同法500条3項(当時)が不服申立ての方法を認めていないことについて、抗告人が憲法32条の保障する「裁判を受ける権利」に違反すると主張して特別抗告を申し立てた事案。
あてはめ
事件番号: 昭和47(ク)311 / 裁判年月日: 昭和47年11月9日 / 結論: 棄却
民訴法五四九条四項、五四七条二項による裁判について不服申立をなしえない旨の判断をしても、憲法三二条に違反しない。
憲法32条は国民に裁判を受ける権利を保障するが、どのような手続で、何回の審級を認めるかという制度設計は立法府の合理的な裁量に委ねられている。本件において、旧民事訴訟法が強制執行停止決定に対する不服申立てを制限していることは、立法府が適宜の判断に基づき定めた審級制度の枠内の事項であるといえる。憲法81条が予定する最高裁判所による終局的な違憲審査の機会を奪うものでない限り、不服申立てを認めないことは同条の趣旨に反しない。
結論
審級制度の定めは立法政策の問題であり、特定の決定に対し不服申立てを認めない民事訴訟法の規定は、憲法32条に違反しない。
実務上の射程
裁判を受ける権利と審級の保障の限界を示す重要判例である。司法試験においては、行政不服申立てや中間的な決定に対する不服申立て制限の合憲性を論じる際、審級制度の立法裁量を肯定する根拠として引用すべきである。
事件番号: 昭和39(ク)172 / 裁判年月日: 昭和39年6月30日 / 結論: 棄却
口頭弁論を経ずして強制執行停止を命ずる裁判をしても憲法第八二条に違反するものではない。
事件番号: 昭和24(ク)21 / 裁判年月日: 昭和24年9月28日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、民事訴訟法等の法令において特に最高裁判所への申し立てが許容されている場合に限り認められ、これに該当しない抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人らが最高裁判所に対して抗告を申し立てたが、当該抗告が法律の規定により最高裁判所に申し立てることが特に許容された類型に該当す…
事件番号: 昭和24(ク)10 / 裁判年月日: 昭和24年3月2日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に最高裁判所の権限に属するものと定めた場合を除いてはすることができず、憲法判断の不当を理由としないものは不適法である。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対し抗告を申し立てた事案。抗告申立書の内容を精査したところ、原決定における憲法上の判断が不当であること…
事件番号: 昭和26(ク)119 / 裁判年月日: 昭和26年7月20日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告に関して裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、その理由は憲法違反の判断を不当とするものに限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由の内容は、原決定における憲法適合性の判断を不当とするものではなかった。…