不動産競売事件においてなされた競落許可決定に不服がある場合には、法律の定めるところに従つて即時抗告をすることはできるが、国または裁判所判事を相手方として訴を提起して、その取消を訴求することは許されない。
不動産競売事件の競落許可決定に対する取消の訴は許されるか
民訴法680条,競売法32条
判旨
不動産競売における競落許可決定に不服がある場合、民事執行法上の即時抗告という特別の不服申立手続によるべきであり、国や裁判官を被告として当該決定の取消しを求める訴えを提起することは許されない。
問題の所在(論点)
裁判所がなした競落許可決定という裁判上の判断に対し、民事執行法(旧競売法)が定める抗告手続を経ることなく、別途訴訟(民事訴訟)を提起してその取消しを求めることができるか。
規範
裁判所の裁判(決定)に対する不服申立ては、法律に特別の定めがある場合に限り、その定める手続(即時抗告等)によってのみなされるべきであり、別途、国や裁判官を被告とする訴訟によってその取消しを求めることは、訴えの利益を欠き不適法である。
重要事実
上告人は、不動産競売事件においてなされた競落許可決定(現行法の売却許可決定に相当)に対し、内容に不服があるとして、国または裁判所判事を相手方として当該決定の取消しを求める訴えを提起した。
事件番号: 昭和34(オ)656 / 裁判年月日: 昭和36年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産競売開始決定に対して不服がある場合、民事執行法上の執行異議や執行抗告によるべきであり、別途、競売開始決定自体の取消しを裁判上訴求することは許されない。 第1 事案の概要:上告人は、自己の不動産に対してなされた競売開始決定に対し、その取消しを求めて訴えを提起した。原審は、当該訴えのうち、競売手…
あてはめ
不動産競売における競落許可決定については、法律(旧競売法・民事訴訟法等)において不服がある場合には即時抗告をすることができる旨の規定が置かれている。かかる特別の救済手段が用意されている以上、手続の安定性と裁判の確定力の観点から、独立した訴訟による取消請求は認められない。したがって、上告人が提起した本件訴えは、不服申立手続の誤りであり不適法といえる。
結論
本件訴えは不適法として却下されるべきである。
実務上の射程
裁判所の判断(決定・命令)の効力を争う場合は、原則として当該手続内での上訴(抗告)によるべきであり、別訴による取消請求は許されないという一般原則を確認するものである。実務上、行政処分に対する取消訴訟等とは異なり、司法裁判そのものの取消しを民事訴訟で求めることはできないことを示す基本判例として機能する。
事件番号: 昭和26(ク)137 / 裁判年月日: 昭和26年9月3日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律により特に許された場合に限られ、現行法上は憲法違反を理由とする特別抗告(旧民訴法419条の2、現行336条)のみがこれに該当する。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案であるが、その抗告理由は原決定における法律・…
事件番号: 昭和26(ク)243 / 裁判年月日: 昭和26年11月18日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が下した決定に対しては、さらに抗告を申し立てることは許されず、そのような抗告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所の既になした決定に対し、不服としてさらに抗告を申し立てた事案。 第2 問題の所在(論点):最高裁判所の決定に対するさらなる抗告(再抗告等)の可否。…
事件番号: 昭和24(ク)59 / 裁判年月日: 昭和24年9月30日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法上特に許容されている場合を除き、申し立てることができない。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。しかし、当該抗告は訴訟法上で最高裁判所への申立てが特に許容されている類型には該当しなかった。 第2 問題の所在(論点):最高裁判所に対する抗…
事件番号: 昭和26(ク)230 / 裁判年月日: 昭和26年12月10日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、民訴法(旧法)等の規定に基づき、原決定における憲法判断の不当性を理由とする場合に限られ、実質的に単なる法令違反を主張するものは不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、本件競売手続において民法所定の滌除(抵当権消滅請求)の手続が踏まれていないこと、および競売法所定の競売…