付審判請求事件の審理方式は、裁判所が当該事件について審理に関する方針を宣明するものにすぎず、これによつて直ちに一定の訴訟法上の効果を生ずるものではないのが一般であり、審理方式中関係人に告知することにより一定の訴訟法上の効果を生じさせるものを除き、審理方式自体に不服申立をすることは許されない。
付審判請求事件の審理方式に対する不服申立の適否
刑訴法433条,刑訴法43条,刑訴法262条1項
判旨
裁判所が宣明する「審理方式」は、原則として不服申立ての対象とならないが、関係人に閲覧謄写権を付与する等の訴訟法上の効果を生じさせる部分については例外的に許される。ただし、付審判請求事件における閲覧謄写許可や証人尋問決定は、判決前の決定に準ずるものとして刑訴法433条の抗告は許されない。
問題の所在(論点)
裁判所が定めた「審理方式」およびそれに基づく「証拠調決定」に対し、刑訴法上の不服申立て(特別抗告)をすることが許されるか。
規範
1. 「審理方式」は、裁判所が当該事件の審理方針を宣明するものにすぎず、直ちに一定の訴訟法上の効果を生ずるものではないため、原則として不服申立ての対象とはならない。ただし、例外的に、告知により関係人に訴訟法上の具体的な権利(閲覧謄写権等)を付与する等の効果を生じさせる部分は、不服申立ての対象となり得る。 2. もっとも、付審判請求事件における記録の閲覧謄写許可や証人取調べの決定は、訴訟手続に関し判決前にした決定に準ずるものと解され、刑訴法433条に基づく特別抗告は許されない。
重要事実
裁判所が受理した付審判請求事件において、裁判所は、請求人側代理人に捜査記録の閲覧謄写を許し、特定の証人(医師ら)を取り調べる際に弁護士である請求人の立会い・質問を許す等の「審理方式」を定め、弁護人らに告知した。弁護人らは、この審理方式が付審判請求手続の密行性に反し裁量を逸脱している等として異議を申し立てたが棄却されたため、特別抗告に及んだ。
事件番号: 昭和48(し)42 / 裁判年月日: 昭和49年3月13日 / 結論: その他
本件付審判請求事件の審理手続において裁判所が定めた審理方式のうち、請求人代理人に対し検察官から裁判所に送付された一件記録の閲覧謄写を許可する部分は、本件事案(判文参照)のもとでは、裁判所に許された裁量の範囲を逸脱し違法である。
あてはめ
1. 本件審理方式のうち、捜査記録等の閲覧謄写を許す部分は閲覧謄写権を付与する訴訟法上の効果を有するが、その他の部分は審理方針の宣明や協力要請にすぎず、訴訟法上の効果を生じない。したがって、後者の部分については不服申立て自体が不適法である。 2. また、閲覧謄写を許す決定や証人取調べの決定については、訴訟手続に関し判決前にされた決定に準ずる性質を有する。刑事訴訟法上、これらの決定に対しては同法433条の抗告をなしうる場合(裁判所の憲法違反等)には当たらないため、異議申立て棄却決定に対する抗告も不適法である。
結論
本件各抗告はすべて不適法であり、棄却される。
実務上の射程
裁判所の内部的な審理方針(審理方式)の可否を争う実務上の限界を示したものである。答案上は、付審判請求手続の法的性格(準起訴手続・捜査類似性)と、それに対する裁判所の広範な裁量を前提としつつ、裁判所の判断のうち「判決前の決定」に該当するものの不服申立可否を論じる際の参照となる。
事件番号: 昭和56(し)80 / 裁判年月日: 昭和56年6月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求事件の記録の一部に対する閲覧・謄写許可決定は、訴訟手続に関し判決前にした決定に準ずるものとして、刑事訴訟法433条に基づく特別抗告をすることは許されない。 第1 事案の概要:付審判請求事件において、原裁判所が請求人代理人の一人に対し、事件記録の一部(検察官作成の意見書別紙)を閲覧・謄写さ…
事件番号: 昭和42(し)17 / 裁判年月日: 昭和42年4月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】付審判請求書において、被疑者、犯罪事実、および適式な証拠の記載がない場合は、刑事訴訟法262条2項および刑事訴訟規則169条所定の方式に違反し不適法となる。 第1 事案の概要:抗告人は、地方裁判所に対し付審判請求を行ったが、提出された請求書には被疑者が誰であるかの特定がなく、具体的な犯罪事実も記載…
事件番号: 昭和57(し)26 / 裁判年月日: 昭和57年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する特別抗告(刑訴法433条)は、対象となる決定又は命令に対し、法上他に不服を申し立てることができない場合に限り許容される。 第1 事案の概要:申立人は、原決定に対し、刑訴法419条および421条に基づき、高等裁判所に対して通常の抗告をすることが可能な状況にあった。しかし、申立人は通…
事件番号: 昭和49(し)20 / 裁判年月日: 昭和49年3月20日 / 結論: 棄却
付審判請求事件の特別抗告申立には刑訴法三六六条一項は準用ないし類推適用されない。