判旨
検察官が同一人の犯した併合罪(刑法45条)の関係にある数罪を各別に起訴し、裁判所がこれらを各別に審判することは、法の予定するところであり適法である。また、このような審判が憲法37条1項の「公平な裁判所」による裁判に違反することはない。
問題の所在(論点)
併合罪の関係にある数罪を、検察官が別個に起訴し、裁判所が別個に審判することは許されるか。また、それが憲法37条1項の「公平な裁判所」の保障に反しないか。
規範
刑法45条前段の併合罪の関係にある数罪であっても、事件の状況により検察官がこれらを各別に起訴し、または裁判所が各別に審判することは法が予定する運用であり、違法とはいえない。また、憲法37条1項にいう「公平な裁判所」とは、偏頗や不公平の恐れのない組織・構成を持つ裁判所を意味し、数罪を併合審理しないことが直ちに同条に違反するものではない。
重要事実
被告人は詐欺罪(自転車騙取)で有罪判決を受け服役していたが、その服役中に、当該確定事件の判決前に行われていた別件の犯行(本件)について起訴を受けた。被告人側は、本件は本来先の確定事件と併合して審理されるべきであったのに、別個に起訴・審判されたことは違憲・違法であると主張して上告した。また、服役中の公判により防御権が侵害されたとも主張した。
あてはめ
法の規定上、同一人の数罪を常に併合して審理しなければならない義務はなく、検察官や裁判所の裁量による各別の処理が認められている。本件では、先の詐欺事件が既に確定しており、物理的に併合審理は不可能であるから、別個に審理を行うのは当然である。また、憲法37条1項は裁判所の組織的公正を保障するものであり、別個審理自体が裁判所の公正さを損なうものではない。さらに、被告人は服役中も公判に出廷し、国選弁護人の援助を受けていたことから、防御権の不当な侵害も認められない。
結論
併合罪の一部のみを起訴し、その確定後に残りの余罪を起訴・審理することは適法である。本件判決は、憲法37条1項に違反しない。
実務上の射程
併合罪の追起訴や余罪の別個起訴がなされた際の適法性の根拠として機能する。また、憲法37条1項の「公平な裁判所」の定義(組織的構成に関する概念)を示す際にも引用される。
事件番号: 昭和26(れ)1481 / 裁判年月日: 昭和26年12月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯関係にある共同被告人の間で科刑に差異が生じたとしても、そのことのみをもって憲法37条1項が保障する公平な裁判に反するものとはいえない。 第1 事案の概要:被告人AおよびBが共犯として起訴された事案において、第一審および控訴審はそれぞれの責任の程度に応じた刑を言い渡した。これに対し、被告人B側は…