判旨
確定裁判を経た罪がある場合、その前後で犯された罪は別個の併合罪として処理すべきであり、すべてを一括して刑法45条前段の併合罪として1つの刑を言い渡すことは違法である。
問題の所在(論点)
確定判決を挟んで犯された複数の罪につき、そのすべてを刑法45条前段の併合罪として1つの刑を科すことができるか。確定判決の存在が併合罪の処理に及ぼす影響が問題となる。
規範
刑法45条は、確定判決前の罪について併合罪(前段併合罪)とし、確定判決があったときはその判決が確定した罪とそれ以前に犯した罪を併合罪(後段併合罪)と定めている。したがって、被告人に確定判決がある場合、裁判所は、①当該確定判決前に犯された罪(後段併合罪の関係)と、②確定判決後に犯された罪(前段併合罪の関係)を峻別し、それぞれについて別個の刑を言い渡さなければならない。
重要事実
被告人は、昭和29年4月から6月にかけて児童福祉法違反(事実1(1))、同年7月上旬に同法違反(事実2)、同年8月から10月にかけて同法違反(事実1(2))、昭和30年2月に同法違反(事実1(3))の計4個の罪を犯した。一方で、被告人は昭和29年7月13日に道路交通取締法違反で科料に処せられ、同月30日にその裁判が確定していた。しかし、第一審および原審は、これら4個の罪すべてを刑法45条前段の併合罪として一括し、懲役6月の単一の刑を言い渡した。
あてはめ
本件において、道路交通取締法違反の裁判が昭和29年7月30日に確定していることから、これより前に犯された事実1(1)および事実2は、当該確定裁判を経た罪と刑法45条後段の併合罪の関係に立つ。これに対し、確定後の事実1(2)および事実1(3)は、これら相互間で刑法45条前段の併合罪となる。そうであるならば、裁判所は、(1)事実1(1)と事実2のグループ、(2)事実1(2)と事実1(3)のグループに対し、それぞれ別個に刑を言い渡すべきである。これらすべてを一括して1つの刑を言い渡した第一審および原審の判断は、刑法の適用を誤った違法があるといえる。
結論
確定判決の前後で犯された罪をすべて一括して刑法45条前段の併合罪として処断することは認められない。原判決を破棄し、確定前後の各グループにつき個別に刑を言い渡す(本件ではそれぞれ懲役3月)。
実務上の射程
実務上、併合罪の処理において「確定判決による遮断」を失念しないための基本判例である。答案上は、数罪の処理において被告人に前科がある場合、その確定日を確認し、余罪が前段併合罪か後段併合罪かを厳密に区別して刑の言渡しを行うべきであることを示す際に参照する。
事件番号: 昭和29(あ)3399 / 裁判年月日: 昭和30年2月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法36条が禁止する「残虐な刑罰」とは、刑罰の内容そのものが人道上の見地からして非人道的、あるいは異常に過酷なものを指す。死刑そのものは、同条にいう残虐な刑罰には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、被告人に対して言い渡された刑罰が憲法36条の「残虐な刑罰」に該当し、違憲であると主張して上告を…