判旨
旧大審院判例を変更した昭和25年2月24日最高裁決定を踏襲し、いわゆる「一事不再理の原則」や「罪数論」における既判力の範囲について、先行する確定判決の効力が及ぶ範囲を限定的に解する立場を維持したものである。
問題の所在(論点)
先行する確定判決がある場合に、後の公訴事実に対して既判力(一事不再理の効力)が及ぶかどうかの判断基準、および過去の大審院判例の変更の成否が問題となった。
規範
確定判決の既判力(一事不再理の効力)の範囲については、先行する判例(昭和25年2月24日決定)が示した通り、実体法上の罪数論とは必ずしも一致せず、訴因として提示された具体的犯罪事実を基準に判断すべきである。
重要事実
被告人が上告を申し立てた事案であるが、判決文本文には具体的な公訴事実や被告人の行為に関する詳細は記載されていない。弁護人は大審院判例を引用して判例違反を主張したが、最高裁は既にその判例は変更済みであるとして退けた。
あてはめ
最高裁は、弁護人が引用した大審院判例は既に昭和25年の最高裁判決によって変更されていると指摘した。また、他の引用判例についても、本件とは事案を異にするため適切ではないと判断し、一事不再理の原則等に基づく上告理由を排斥した。職権による調査(刑訴法411条)においても、原判決を破棄すべき事由は認められないとした。
結論
本件上告を棄却する。既判力の範囲に関する主張は、既に変更された判例に基づくものであり、適法な上告理由に当たらない。
実務上の射程
刑事訴訟法における「既判力の客観的範囲」を論ずる際、旧来の包括一罪的な広い範囲(大審院判例)ではなく、最高裁が昭和25年以降採用している限定的な判断枠組みを再確認する素材として機能する。
事件番号: 昭和45(あ)193 / 裁判年月日: 昭和46年10月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において判例違反を主張する場合、引用される判例は事案を等しくし、かつ有効なものでなければならず、既に変更された判例の引用は適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人(弁護人)は、原判決には判例違反があるとして上告を申し立てた。しかし、その主張の中で引用された判例は、本件とは事案を…
事件番号: 昭和26(れ)900 / 裁判年月日: 昭和26年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本判決は、刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、かつ同法411条の職権破棄事由も認められない場合、上告を棄却すべきであることを示したものである。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対し、弁護人を通じて上告を申し立てた事案。上告趣意において刑事訴訟法405条所定の上告理由が主張されたが、最高裁判所…
事件番号: 昭和61(あ)1418 / 裁判年月日: 昭和62年2月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において、訴訟記録および第一審の証拠のみに基づき直ちに被告事件の犯罪事実を確定して有罪判決を下すことは、適正な事実認定のあり方に照らして制限されるが、本件ではそのような手続上の瑕疵は認められない。 第1 事案の概要:第一審で無罪判決を受けた被告人に対し、控訴審(原審)が有罪判決を言い渡した。…
事件番号: 昭和51(あ)122 / 裁判年月日: 昭和51年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不法領得の意思に関し、利用処分意思については、権利者を排除して自己の所有物として振る舞う意思(排除意思)だけでなく、その経済的用法に従い処分する意思(利用処分意思)を必要とする立場を維持したものである。 第1 事案の概要:本件判決文自体からは具体的な事案事実は不明であるが、被告人が弁護人を通じて、…