自己の有する原登録意匠の類似意匠としての登録出願があつた場合において、出願の意匠がその出願前国内に頒布された刊行物に記載された原登録意匠に類似しない第三者の意匠に類似するときは、右出願意匠は、もはや新規性を有するものとはいい得ず、従つて右意匠が原登録意匠に類似するかどうかの判定をまつまでもなく、その登録は許されないものと解すべきである。
いわゆる類似意匠としての登記出願が許されない場合。
旧意匠法(大正10年法律98号)3条
判旨
旧意匠法3条2項(現行法の関連意匠制度に相当)の趣旨は、自己の登録意匠に類似する意匠の保護を強化する点にあるが、出願意匠が第三者の先行意匠に類似する場合には、当然に新規性を欠き登録を認められない。
問題の所在(論点)
出願に係る意匠が自己の登録意匠に類似する場合であっても、同時に第三者の先行意匠(公知意匠)に類似するとき、なお新規性の例外として登録が認められるか(旧意匠法3条1項および2項の適用関係)。
規範
意匠法(昭和34年改正前)3条2項は、既に登録された自己の意匠にのみ類似することを理由に新規性を失わないとする例外を設けることで、原意匠の保護範囲を拡張するものである。したがって、出願意匠が第三者の先行意匠(刊行物記載意匠等)に類似する場合には、当該例外規定の適用はなく、新規性を喪失する。
重要事実
上告人(出願人)が意匠登録出願を行ったところ、その意匠は出願前に国内で頒布された刊行物に記載された原登録意匠(第三者の意匠)に類似するものであった。上告人は、自己の登録意匠との関係で新規性の例外規定の適用を主張したが、原審は第三者の意匠に類似する以上、直ちに新規性を欠くと判断したため、上告人がこれを不服として上告した。
あてはめ
旧意匠法3条2項の規定は、自己の既登録意匠に類似する意匠について、例外的に新規性を認めることで原意匠の保護を強化する趣旨である。しかし、本件出願意匠は、出願前に刊行物に記載された第三者の意匠(原登録意匠)に類似している。このように、自己の意匠以外の第三者の意匠に類似する場合には、もはや新規性を維持する根拠がなく、原登録意匠(自己の意匠)への類似性を判断するまでもなく、同法3条1項に基づき登録を拒絶すべきである。
結論
出願意匠が第三者の先行意匠に類似する以上、自己の登録意匠に類似するか否かにかかわらず新規性を欠き、意匠登録を受けることはできない。
実務上の射程
本判決は現行の関連意匠制度(意匠法10条)の解釈においても重要である。関連意匠として出願する場合であっても、本意匠以外の第三者の先行意匠に類似する(または容易に創作できる)場合には、同法3条1項(または2項)により拒絶されるという原則を確認する際に引用できる。
事件番号: 昭和37(オ)380 / 裁判年月日: 昭和39年6月26日 / 結論: 破棄自判
登録出願前国内に頒布された刊行物に登載されていた乗合自動車の引用意匠と類似の形状および模様の結合からなる出願意匠の指定商品たる乗合自動車に、あらたに、車体両側の上部から上覆部にかけて、ほぼ四角形で、辺の長さは縦横とも側窓の横幅よりやや短かく、隅に丸味をもたせたにずぎない合計一四個の天窓が取り付けられていても、かかる天窓…
事件番号: 昭和24(オ)133 / 裁判年月日: 昭和25年11月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】商標の類否判断において、外観に相違がある場合であっても、構成部分から生ずる称呼及び観念が共通し、取引の実情に照らして商品の出所について混同を生ずるおそれがあるときは、類似の商標と解される。 第1 事案の概要:本件登録商標(「獅子印」等を含む図形商標。以下「本標章」)に対し、他者の商標(「クロライオ…
事件番号: 昭和41(行ツ)81 / 裁判年月日: 昭和43年6月14日 / 結論: 棄却
同種の物品についての意匠の類否の判定にあたり、それら物品の性質上、同法上当然具有すべき基本形状であつても、それが意匠を構成する主要部分になつている以上、その部分を除外して考察すべきものではない。