一 国有林野整備臨時措置法に基く国有山林の払下が、買受人としての法定の適格を欠く後順位の申請人に対する違法な売払処分であるとして、競願者が提起した当該払下処分取消訴訟は、民事訴訟用印紙法第二条にいう財産権上の請求に係る訴訟である。 二 右訴訟の訴状に貼用する印紙の額は、当該山林の価額を訴訟物の価額として算出すべきものである。
一 国有林野払下取消訴訟は民事訴訟用印紙法第二条の財産権上の請求に係る訴訟か 二 右訴訟の訴訟物の価額
民事訴訟用印紙法2条,国有林野整備臨時措置法(昭和26年法律247号)1条1項,国有林野整備臨時措置法(昭和26年法律247号)1条2項
判旨
行政処分の取消訴訟であっても、その請求の本質が経済上の利益の享受にある場合は財産権上の請求に当たり、その訴訟目的の価額は原告が勝訴によって受ける客観的利益(目的物の価額)による。
問題の所在(論点)
1. 国有林野払下取消訴訟は、民事訴訟用印紙法(現・民事訴訟費用等に関する法律)上の「財産権上の請求」に該当するか。2. 財産権上の請求に該当する場合、その訴訟物の価額はどのように算定すべきか。
規範
請求の性質が「経済上の利益を享受することを本質とするもの」である場合には、行政処分の適法性を審判対象とする訴訟であっても財産権上の請求に当たる。その訴訟目的の価額は、原告が当該訴訟の勝訴の結果として経済上受け得べき客観的利益に基づき算定すべきである。
重要事実
上告人は、国有林野の払下げ処分の取消しを求める訴訟(別件訴訟)を提起した。この訴訟において、手数料(印紙代)の算定根拠となる「財産権上の請求」に該当するか、および「訴訟物の価額」をいかに解すべきかが争点となった。原審は、本件を財産権上の請求と認め、その価額を当該山林自体の価額としたため、上告人がこれを不服として上告した。
あてはめ
1. 本件訴訟の請求は、国有林野の払下げという行政処分を排し、特定の経済的利益を確保しようとするものである。したがって、審判対象が行政行為の適法性であっても、その実質において経済的利益の享受を目的とする以上、財産権上の請求と解するのが相当である。2. 訴訟物の価額について、山林の経営や転売による利益は間接的利益にすぎない。原告が勝訴により直接的に回復または取得し得る客観的利益は、目的物である山林そのものの価値に反映される。したがって、山林の価額を訴訟物の価額とした原判決の判断は正当である。
結論
国有林野払下取消訴訟は財産権上の請求に当たり、その訴訟物の価額は当該山林の価額となる。
実務上の射程
行政訴訟における手数料算定の基準を示す。取消訴訟であっても、実質的に特定の財産的権利の帰属や利益を争う性質が強い場合は、一律に非財産権上の請求(現・民訴費用法4条2項)とするのではなく、目的物の価額に応じた手数料が必要となることを明確にした。
事件番号: 昭和36(オ)686 / 裁判年月日: 昭和37年11月9日 / 結論: 棄却
合意解除に基づく不当利得返還請求において、合意解除について当事者間に争いがあるのにかかわらず争いのないものと誤認した違法があつても、判示事情のもとにおいては、判決に影響を及ぼすものとはいえない。