1 生活保護法による保護を受けている者が同法の趣旨目的にかなった目的と態様で保護金品又はその者の金銭若しくは物品を原資としてした貯蓄等は,同法4条1項にいう「資産」又は同法(平成11年法律第160号による改正前のもの)8条1項にいう「金銭又は物品」に当たらない。 2 生活保護法による保護を受けている者が,同一世帯の構成員である子の高等学校修学の費用に充てることを目的として満期保険金50万円,保険料月額3000円の学資保険に加入し,保護金品及び収入の認定を受けた収入を原資として保険料を支払い,受領した満期保険金が同法の趣旨目的に反する使われ方をしたことなどがうかがわれないという事情の下においては,上記満期保険金について収入の認定をし,保護の額を減じた保護変更決定処分は,違法である。
1 生活保護法による保護を受けている者がした貯蓄等の同法4条1項にいう「資産」又は同法(平成11年法律第160号による改正前のもの)8条1項にいう「金銭又は物品」該当性 2 生活保護法による保護を受けている者が子の高等学校修学費用に充てる目的で加入した学資保険の満期保険金について収入の認定をして保護の額を減じた保護変更決定処分が違法であるとされた事例
生活保護法1条,生活保護法4条1項,生活保護法(平成11年法律第160号による改正前のもの)8条,生活保護法10条,生活保護法(平成9年法律第124号による改正前のもの)11条1項,生活保護法13条,生活保護法25条2項
判旨
生活保護受給世帯が給付金等を原資として積み立てた学資保険の満期保険金について、子の高校就学費用に充てる目的等の法趣旨にかなう態様であれば、収入認定の対象となる資産には当たらない。
問題の所在(論点)
生活保護受給中に保護金品等を原資として蓄えられた学資保険の満期保険金が、生活保護法4条1項の「資産」または同法8条1項の「金銭」として収入認定の対象となるか。特に、保護費の貯蓄が「利用し得る資産の活用」要件(補足性の原理)との関係で許容されるかが問題となる。
規範
生活保護法4条1項及び8条1項の「資産」「金銭」の解釈において、保護金品等を原資としてされた貯蓄等であっても、生活保護法の趣旨目的にかなった目的および態様でなされたものは、収入認定の対象とすべき資産には当たらない。特に子の高校進学が自立助長に資する現状に鑑みれば、最低限度の生活を維持しつつ高校修学費用を蓄える努力は、同法の趣旨目的に反しない。
事件番号: 平成22(行ヒ)367 / 裁判年月日: 平成24年4月2日 / 結論: その他
生活扶助の老齢加算の廃止を内容とする生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定に係る厚生労働大臣の判断の適否に関し,(1)老齢加算に見合う高齢者の特別な需要の有無に係る評価については統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無等につき,(2)3年間の段階的な減額を経て廃止す…
重要事実
生活保護受給世帯の世帯主甲は、子の高校就学費用の捻出を目的として、給付された保護金品等を原資に月額3000円の学資保険(満期50万円)に加入した。満期時に甲が受領した返戻金約45万円に対し、処分庁(上告人)は、これを生活保護法4条1項および8条1項に基づき収入認定し、保護費を減額する保護変更決定処分を行った。これに対し、被保護者側(被上告人ら)が処分の取消しを求めて提訴した。
あてはめ
まず、生活保護法は世帯主の家計の合理的な運営を委ねており、支出の節約による貯蓄を禁止していない。本件では、(1)目的において、高校進学が自立助長に有用であり、実務上も世帯内修学が認められていることから、その費用を蓄えることは法目的にかなう。(2)態様において、月額3000円という保険料は最低限度の生活を維持し得る範囲内での節約努力といえる。したがって、本件返戻金が高校修学以外の法趣旨に反する使われ方をされた事情がない限り、収入認定すべき資産には当たらないと評価される。
結論
本件返戻金を収入認定し保護額を減じた処分は、生活保護法の解釈適用を誤った違法なものであり、取り消されるべきである。
実務上の射程
本判例は、補足性の原理(法4条)を厳格に適用せず、受給者の「自立助長」の観点から合理的な貯蓄を認めた点に意義がある。答案上は、義務教育外の教育費や自立に向けた準備金としての貯蓄の適法性が問われた際、本枠組み(目的・態様の正当性)を援用して「活用すべき資産」の範囲を画定するために用いる。
事件番号: 平成29(行ヒ)292 / 裁判年月日: 平成30年12月18日 / 結論: 破棄自判
勤労収入についての適正な届出をせずに不正に保護を受けた者に対する生活保護法(平成25年法律第104号による改正前のもの)78条に基づく費用徴収額決定に係る徴収額の算定に当たり,当該勤労収入に対応する基礎控除の額に相当する額を控除しないことは,違法であるとはいえない。 基礎控除:昭和36年4月1日付け厚生事務次官通知「生…
事件番号: 平成22(行ツ)392 / 裁判年月日: 平成24年2月28日 / 結論: 棄却
生活扶助の老齢加算の廃止を内容とする生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定は,次の(1)〜(3)など判示の事情の下においては,その改定に係る厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえず,生活保護法3条又は8条2項の規定に違反しない。 (1)ア 上記改定開始の5年前には,…
事件番号: 昭和39(行ツ)14 / 裁判年月日: 昭和42年5月24日 / 結論: その他
生活保護処分に関する裁決の取消訴訟は、被保護者の死亡により、当然終了する。
事件番号: 令和5(行ヒ)397 / 裁判年月日: 令和7年6月27日 / 結論: その他
1 平成25年から平成27年にかけて行われた、物価変動率のみを直接の指標として基準生活費を一律に減ずることをその内容に含む、生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号)中の生活扶助基準の改定は、次の⑴~⑷など判示の事情の下では、その厚生労働大臣の判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があり、生活保護法3条…