控訴審において、公開法廷で公判審理が行われ、右期日に被告人は適法な召喚状の送達を受けたが出頭せず、弁護人の控訴趣旨書に基ずく弁論および検察官の意見の陳述の後弁論が終結された以上右手続は憲法第三七条第一項に違反しない。
控訴審における書面審理と憲法第三七条第一項。
憲法37条1項,刑訴法389条,刑訴法390条
判旨
被告人が適法な召喚を受けながら控訴審の公判期日に出頭しない場合、被告人の欠席のまま審理を進めることは憲法37条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
被告人が公判期日に出頭しないまま審理を行うことが、憲法37条1項(公正な裁判を受ける権利・被告人の出席権)に違反するか、あるいは刑事訴訟法の規定に抵触するか。
規範
被告人が適法な召喚を受けながら、正当な理由なく公判期日に出頭しない場合、その権利の放棄とみなして審理を進めることは、憲法37条1項が保障する公正な裁判を受ける権利や被告人の出席権を侵害するものではない。
重要事実
被告人は控訴審において、昭和33年6月9日の公判期日に向けて適法な召喚状の送達を受けたが、当該期日に出頭しなかった。これに対し控訴審裁判所は、被告人欠席のまま、弁護人の控訴趣意書に基づく弁論および検察官の意見陳述を実施して、審理を終結させた。
事件番号: 昭和25(れ)1774 / 裁判年月日: 昭和26年3月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が適法な召喚を受けながら正当な理由なく公判期日に出頭しない場合、弁護人が出頭して審理がなされたとしても、その審判手続に違法はない。 第1 事案の概要:被告人は、原審の第1回から第3回の公判期日に向けて、それぞれ数ヶ月から数週間前に適法な召喚状の送達を受けていた。しかし、被告人はいずれの期日に…
あてはめ
本件では、被告人に対し適法な召喚状の送達が行われており、公判期日への出頭の機会が十分に保障されていたといえる。それにもかかわらず被告人が自ら出頭しなかった以上、裁判所が弁護人の陳述や検察官の意見を聴取した上で審理を終結させる手続は、適法な手続に則ったものと評価される。
結論
被告人が適法な召喚を受けながら出頭しない場合に、その欠席のまま審理を行うことは憲法37条1項に違反せず、上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
控訴審における被告人の出頭不要の原則(刑訴法391条)の合憲性を支える判断。実務上、適法な召喚があったという手続的適正確保が前提となる。事案において被告人の防御権が実質的に害されていないかを検討する際の基礎となる判例である。
事件番号: 昭和30(あ)1714 / 裁判年月日: 昭和32年11月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人が欠席した証人尋問であっても、弁護人が立ち会い反対尋問の機会が確保されており、かつ被告人の不出頭に正当な理由がないなどの事情があれば、憲法37条2項に反しない。 第1 事案の概要:被告人が病気を理由に公判を欠席した際、原審は被告人不在のまま証人Aの尋問を実施した。被告人が提出した診断書は刑訴…