少年法20条による検察官送致決定に対しては,特別抗告をすることはできない。
少年法20条による検察官送致決定に対する特別抗告の許否
少年法20条,刑訴法433条
判旨
少年法20条に基づく家庭裁判所の検察官送致決定に対し、少年側から特別抗告を申し立てることは不適法であり、認められない。
問題の所在(論点)
少年法20条による検察官送致決定に対し、憲法違反や判例違反を理由として、最高裁判所に対し特別抗告を申し立てることができるか。
規範
少年法20条による検察官送致決定(いわゆる逆送決定)は、家庭裁判所の終局処分ではあるが、これに対して法が特に不服申立てを認める規定を置いていない以上、最高裁判所に対する特別抗告(刑事訴訟法433条類推適用)の対象にはならない。
重要事実
少年保護事件において、家庭裁判所が少年法20条に基づき、事案の性質等に鑑みて刑事処分を相当と認め、検察官に送致する決定を行った。これに対し、少年側が不服として最高裁判所に特別抗告を申し立てた事案である。
あてはめ
事件番号: 昭和57(し)26 / 裁判年月日: 昭和57年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する特別抗告(刑訴法433条)は、対象となる決定又は命令に対し、法上他に不服を申し立てることができない場合に限り許容される。 第1 事案の概要:申立人は、原決定に対し、刑訴法419条および421条に基づき、高等裁判所に対して通常の抗告をすることが可能な状況にあった。しかし、申立人は通…
少年法上の救済制度の枠組みにおいて、検察官送致決定に対する不服申立てを認める明文の規定は存在しない。本決定は、事件を刑事手続へ移行させる中間的な性格も有しており、刑訴法の特別抗告の規定を適用・類推適用して独立の不服申立てを認めるべき法的根拠に欠ける。したがって、当該申立ては手続上の規定に反し不適法であるといえる。
結論
少年法20条による検察官送致決定に対して特別抗告をすることはできない。
実務上の射程
検察官送致決定の法的性質が「不服申立てを許さない決定」であることを示した。実務上、逆送決定を争うには、送致後の刑事手続(公判段階)において、前提となる送致決定の違法を主張する等の手法を検討することになる。
事件番号: 昭和42(あ)2397 / 裁判年月日: 昭和43年2月23日 / 結論: 棄却
少年法第二〇条による検察官送致決定をした裁判官が、後にその刑事事件の審判に関与しても裁判官除斥の原因とならず、憲法第三七条第一項に違反するものでないことは、当裁判所大法廷判決(昭和二四年新(れ)第一〇四号同二五年四月一二日判決、刑集四巻四号五三五頁)の趣旨に徴して明らかである。
事件番号: 昭和40(し)7 / 裁判年月日: 昭和40年6月21日 / 結論: 棄却
少年法第六条第三項により児童相談所長から事件送致を受けた家庭裁判所が、同法第一八条第二項により、少年の自由を制限し、またはその自由を奪うような強制的措置を指示してそお事件を児童相談所長に送致する旨の決定をした場合、これに対して抗告を申し立てることはできない。
事件番号: 昭和57(し)27 / 裁判年月日: 昭和57年3月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】弁護人による公訴棄却の申立ては、裁判所の職権発動を求める趣旨にすぎず、裁判所がこれに応じない旨の見解を示したとしても、独立した不服申立ての対象とはならない。これに対する不服は、終局裁判に対する上訴の中で主張すべきである。 第1 事案の概要:弁護人が、公訴提起後2か月以内に起訴状謄本が被告人に送達さ…
事件番号: 昭和50(し)37 / 裁判年月日: 昭和50年6月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法266条1号に基づく付審判請求棄却決定は、同法433条1項に規定する「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告をすることはできない。 第1 事案の概要:申立人は、公務員職権濫用の事実について刑事訴訟法262条に基づき付審判請求(審判請求)を行った。これに対…