判旨
手数料の納付を命ずる補正命令を受けた申立人が、指定期間内に手数料を納付しなかった場合、その後に手数料を納付したとしても、特段の事情がない限り、適法な補正があったとは認められない。
問題の所在(論点)
手数料の納付を命ずる補正命令に対し、指定期間経過後に手数料が納付された場合、不適法な申立てとしての瑕疵が治癒され、適法な補正があったと認められるか。民事訴訟法上の補正命令の効力と期間制限の性質が問題となる。
規範
裁判所が手数料の不足を理由として補正を命じた場合において、指定された期間内にその納付がなされないときは、当該申立ては不適法なものとして却下される。指定期間を経過した後の納付は、特段の事情がない限り、適法な補正としての効力を有さず、裁判所は不備が解消されたものとして扱うことはできない。
重要事実
申立人は、裁判所から納付すべき手数料が不足しているとして補正命令を受けた。しかし、申立人は指定された期間内に不足分の手数料を納付しなかった。申立人は、裁判所が却下の決定を下す前の段階で不足分の手数料を納付したが、それは指定期間を徒過した後のものであった。
あてはめ
本件において、裁判所は適法に手数料の補正を命じたが、申立人はその指定期間内に納付を行っていない。期間経過後の納付は、手続の安定性と迅速な進行を目的とする期間制限の趣旨に照らし、有効な補正とは評価できない。したがって、却下決定がなされる前に納付が完了していたという事実があったとしても、期間徒過の事実を覆す特段の事情が認められない限り、申立ての不適法性は解消されないと解される。
結論
指定期間経過後の手数料納付は適法な補正とは認められず、申立ては不適法として却下されるべきである。
実務上の射程
事件番号: 昭和48(行ツ)26 / 裁判年月日: 昭和50年7月4日 / 結論: 棄却
特許出願の拒絶査定に対する審判請求の際納付すべき手数料が不足するとしてその補正を命ぜられた者は、その指定された期間内又は遅くとも審判請求書却下決定のあるまでにこれを補正することを要し、右却下決定のあつた後は、たとえその確定前に右不足手数料の納付があつても、有効な補正があつたということはできない。
本判決は、手数料納付等の形式的要件の不備に関する補正命令の「指定期間」の厳格な性質を明らかにしている。実務上、期間経過後の追完を認める「特段の事情」は極めて限定的に解されるため、答案上は原則として期間徒過により不適法却下を免れないとする論理構成を採るべきである。
事件番号: 昭和59(行ツ)286 / 裁判年月日: 昭和61年4月25日
【結論(判旨の要点)】行政庁の不作為に対する異議申立ての期間制限について、行政不服審査法(旧法)の規定を類推適用することはできない。 第1 事案の概要:申請者が行政庁に対し、一定の処分を求めて申請を行った。これに対し行政庁は相当期間が経過しても何ら処分を行わなかった(不作為)。申請者はこの不作為を不服として異議申立て(…
事件番号: 昭和45(行ツ)114 / 裁判年月日: 昭和48年6月26日
【結論(判旨の要点)】特許出願の拒絶査定に対する不服審判において、審判官が審理することなく審判請求を却下した決定に対し、適法な不服申立ての方法がない場合でも、行政事件訴訟法に基づく出訴期間等の制限が適用される。出願人が審判請求の適法性を争う場合は、審決取消訴訟の枠組みにおいて、審判手続の適法性を主張すべきである。 第1…
事件番号: 昭和53(行ツ)140 / 裁判年月日: 昭和56年3月13日
【結論(判旨の要点)】特許法上の特許出願における明細書又は図面の補正は、願書に添付した明細書又は図面の要旨を変更しないものである限り、拒絶査定の謄本の送達があるまでは、いつでもこれをすることができる。 第1 事案の概要:本件は、特許出願に係る明細書及び図面の補正の適否が争われた事案である。出願人は、審査段階において明細…
事件番号: 昭和49(行ツ)109 / 裁判年月日: 昭和50年9月11日 / 結論: 棄却
特許料の追納期間を徒過した場合については、訴訟行為の追完に関する民訴法一五九条の規定は、適用ないし類推適用されない。