判旨
上告理由に理由齟齬の違法があるとの主張が含まれていても、それが原判決の判示に沿わない独自の見解に基づくものである場合は、上告を棄却すべきである。
問題の所在(論点)
原判決に理由齟齬の違法があるとの主張が、原判決の判示に副わない独自の見解に基づくものである場合に、適法な上告理由として認められるか。
規範
上告理由として主張される判決の理由齟齬(旧民事訴訟法395条1項6号参照)の有無を判断するにあたっては、原判決の判示内容を前提とすべきであり、客観的な判示に即さない独自の見解に基づく非難は、適法な上告理由を構成しない。
重要事実
上告人は、原判決に理由齟齬の違法があるとして上告を提起した。これに対し、最高裁判所は、当該主張が原判決の実際の判示内容に副わない独自の見解を前提としたものであると認定した。また、その他の論旨についても、民事上告事件の審判の特例に関する法律の各号に該当せず、法令の解釈に関する重要な主張も含まれていなかった。
あてはめ
本件において、上告人が主張する理由齟齬の違法は、原判決が実際に行った判示の内容とは異なる独自の前提に立って原判決を非難するものである。このような主張は、判決そのものの論理的矛盾を指摘するものではなく、原判決の判断枠組みを無視した独自の評価に基づくものといえる。したがって、実質的に理由齟齬の存在を基礎付ける事由とは認められない。
結論
上告理由には理由がない、あるいは不適法であるとして、本件上告を棄却する。
実務上の射程
判決に「理由のくいちがい」があるという上告理由を構成する際は、自説の正当性を強調するだけでなく、あくまで原判決の判示構造の内部において論理的矛盾が生じていることを指摘しなければならない。本判決は、原判決の認定を前提としない抽象的な批判が上告理由として排斥されることを示している。
事件番号: 昭和27(オ)563 / 裁判年月日: 昭和28年4月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律所定の上告理由に該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張も含まない場合は、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が提起した本件上告について、その論旨が「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」の各号に掲げる事由のい…
事件番号: 昭和30(オ)197 / 裁判年月日: 昭和30年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決理由において、抗弁事実と反対の事実を積極的に証拠を挙げて認定している場合には、抗弁を排斥したことが明白であり、理由不備の違法はない。 第1 事案の概要:上告人は原審において何らかの抗弁を主張したが、第一審判決(およびそれを引用・付加した原判決)は、証拠を挙げて当該抗弁事実と相反する事実を積極的…