判旨
記録上存在しない期日変更申請の不許可等を理由として原審の手続違背を主張することは、上告理由に当たらない。
問題の所在(論点)
記録上認められない手続上の申請(期日変更申請)の不備を理由として、憲法違反や手続の違法を主張することが、有効な上告理由として認められるか。
規範
上告審において原審の手続違背を主張するためには、前提となる事実(期日変更申請の提出等)が記録上認められることを要し、記録にない事実を根拠とする主張は、憲法違反や法令解釈の重要事項には該当しない。
重要事実
上告人は、原審において期日変更申請書を提出したにもかかわらず、これが認められなかった等として、原審の手続に違憲・違法があると主張して上告した。しかし、訴訟記録を確認したところ、上告人が主張するような期日変更申請書を提出した事実は認められなかった。
あてはめ
上告人は原審の手続違憲を主張するが、その根拠となる期日変更申請書の提出は記録上確認できない。したがって、存在しない事実を前提とする論旨は、実質的に原審の適法な手続を非難するために憲法違反の主張を仮装したもの(名を違憲にかりるもの)にすぎないと評価される。
結論
上告理由のうち、記録上認められない事実を前提とする手続違背の主張は、憲法違反にも法令解釈に関する重要な主張にも該当せず、上告を棄却すべきである。
実務上の射程
手続違背を上告理由とする場合には、その前提となる訴訟行為が記録上現れている必要があることを示す。実務上は、記録に基づかない手続非難が「名を違憲にかりるもの」として排斥される基準を明示したものといえる。
事件番号: 昭和30(オ)496 / 裁判年月日: 昭和31年6月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において、原審で主張していなかった新たな抗弁を主張することは許されない。また、原審の証拠取捨や事実認定の適否は、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、原審において民法513条2項(現行法513条1項)に基づく更改の主張を行っていなかったが、上告審に至って新たにこの更改の成…