判旨
被告人の判示販売行為が法令違反の事実に該当する場合、弁護人が主張する諸般の事情があったとしても、直ちに行為の違法性が阻却されるものではない。
問題の所在(論点)
被告人の行った法令違反の販売行為について、弁護人が主張する諸般の事情(背景的事情)を考慮することで、当該行為の違法性が阻却されるか。
規範
犯罪の成立要件である違法性は、構成要件に該当する行為が法秩序全体の見地から許容されない場合に認められる。超法規的違法性阻却事由の存否については、行為の目的、手段、保護利益と侵害利益の均衡等を総合的に考慮すべきであるが、単なる経済的事情や個人的な苦境等の付随的事情のみでは、直ちに違法性が阻却されるとは解されない。
重要事実
被告人は、法令により制限されている販売行為を行った。弁護人は、当該販売行為に至った経緯や背景にある特定の事情を根拠として、憲法違反や事実誤認とともに、行為の違法性が阻却されるべきである旨を主張して再上告した。
あてはめ
本件において、被告人の販売行為自体は法令の禁止に抵触するものである。弁護人が主張する諸般の事情は、憲法違反や事実誤認の主張に類するものであり、犯罪の構成要件に該当する販売行為の違法性を基礎づける法秩序を覆すに足りる正当な理由とは認められない。したがって、所論の事情は違法性を阻却すべき理由にはなり得ない。
結論
被告人の販売行為について、主張される諸事情があっても違法性は阻却されず、有罪とした原判決に憲法違反や法令違反の過誤はない。
実務上の射程
具体的な違法性阻却事由の類型(正当防衛や緊急避難等)に当たらない超法規的違法性阻却の主張に対し、裁判所が極めて厳格かつ否定的な態度を示した事例として、答案上は違法性阻却の限定的解釈を支える根拠として引用できる。
事件番号: 昭和26(れ)1174 / 裁判年月日: 昭和26年9月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項に基づき、上告適法の理由にはならない。 第1 事案の概要:被告人が犯した罪の量刑が重すぎるとして、弁護人が上告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):量刑不当の主張が、法的に適法な上告理由として認められるか。 第3 規範:上告審において量…
事件番号: 昭和25(れ)1618 / 裁判年月日: 昭和26年3月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において初めて主張された、原審が認定していない事実に基づく緊急避難の主張は、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人A漁業会代表者等による犯行について、原審では緊急避難(刑法37条)の主張はなされておらず、原判決においてもその前提となる事実は認定されていなかった。被告人側は、上…
事件番号: 昭和26(れ)116 / 裁判年月日: 昭和26年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由とはならない。 第1 事案の概要:弁護人が、被告人に対する原判決の量刑が不当であることを理由として上告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):量刑不当の主張が、当時の刑事手続(刑事訴訟法応急措置法)において適法な上…
事件番号: 昭和25(れ)1587 / 裁判年月日: 昭和26年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法下における上告において、被告人の主張が単なる事実誤認及び量刑不当に帰する場合、当時の特別法(刑訴応急措置法)に基づき、適法な上告理由にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人が原審の判断に対して不服を申し立て、上告を提起した。しかし、その主張の内容は、原判決の認定した事実が誤っていると…