判旨
逮捕・勾留の手続に違法があったとしても、そのことのみでは上告適法の理由にはならない。また、控訴審で主張せず上告審で初めて主張する違憲論は、上告理由の適法要件を欠く。
問題の所在(論点)
逮捕・勾留手続の違法を理由として上告をすることの可否、および控訴審で主張しなかった違憲等の事由を上告審で初めて主張することの適否が問題となる。
規範
逮捕または勾留の手続に違法があるとの主張は、それ自体では適法な上告理由とはならない。また、控訴審において主張されず、原判決が判断を下していない事項(違憲論等)を上告審で初めて主張することは、上告の適法要件を欠くものとして許されない。
重要事実
被告人が現行犯逮捕された後、別の逮捕状により逮捕・身柄拘束が継続された事案。弁護人は、この身柄拘束手続に違法があり、憲法に違反する旨を主張して上告した。しかし、これらの違憲論は控訴審(原審)では一切主張されておらず、控訴審では単に第一審判決の量刑不当のみが争われていた。
あてはめ
本件において、被告人側の主張する逮捕手続等の違法については、仮にその事実があったとしても、判例の趣旨に照らし上告理由には当たらない。また、上告趣意における違憲主張は、原審である控訴審では全く提出されておらず、量刑不当のみを審理した原判決が判断していない事項である。したがって、これらを上告審で初めて論じることは、上告の適法要件を欠く。なお、現行犯逮捕から逮捕状による逮捕まで継続して拘束されていたことを確認できる資料も存在しない。
結論
本件上告は適法な理由を欠くため、棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟において、身柄拘束手続の違法は原則として判決自体の妥当性に影響を及ぼさないため、独立した上告理由にはならないことを示す。また、上告審の事後審的性格から、控訴審で主張しなかった事項を上告審で新たに争うことの制限を明確にしている。答案上は、手続違法が判決に及ぼす影響を論じる際の否定例として活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)4204 / 裁判年月日: 昭和28年4月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】控訴審において主張されていない憲法違反を上告理由とすることはできず、原審が判断を示さなかったことに違法はない。 第1 事案の概要:被告人の弁護人が上告を提起し、憲法違反を主張した。しかし、原審(控訴審)に提出された控訴趣意書の内容を確認すると、その主張は量刑不当の主張に留まるものであった。原判決に…
事件番号: 昭和25(あ)3420 / 裁判年月日: 昭和26年11月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】単なる量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:上告人が、原判決の量刑が不当であるとして上告を申し立てた事案。なお、具体的な犯罪事実や第一審・控訴審の経緯、量刑の詳細は判決文からは不明。 第2 問題の所在(論点):量刑不当を理由とする上告が、刑事訴訟法40…
事件番号: 昭和25(あ)3037 / 裁判年月日: 昭和26年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】単なる量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由には該当しない。 第1 事案の概要:被告人側が、原判決の量刑が不当であるとして上告を申し立てた事案。なお、具体的な事案の内容や量刑の詳細は判決文からは不明。 第2 問題の所在(論点):単なる量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条の上告理由として…
事件番号: 昭和25(あ)2349 / 裁判年月日: 昭和26年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】単なる量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由に該当せず、判決に刑罰の量定が著しく不当な誤りがあるとしても、同法411条を適用すべき特段の事情がない限り、上告は棄却される。 第1 事案の概要:被告人が、下級審の量刑を不服として最高裁判所に上告を提起した。弁護人は上告趣意書において、原判決…
事件番号: 昭和26(れ)556 / 裁判年月日: 昭和26年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審の証拠価値の判断(自由心証)を非難し事実誤認を主張する上告理由は、刑訴法405条の適法な上告理由には該当しない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決における証拠価値の判断を不当として非難し、その結果として事実の誤認があると主張して上告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):原審の証拠価値の判…