車の故障が原因の事故は過失になるか?司法試験対策
車が故障して事故を起こした場合に運転者の過失が認められるかを、法令・判例とともに解説し、司法試験・予備試験の学習に役立つポイントを整理します。
先に結論
車が故障して事故を起こした場合に運転者の過失が認められるかを、法令・判例とともに解説し、司法試験・予備試験の学習に役立つポイントを整理します。
この記事でわかること
- 故障時の注意義務と表示義務を把握できる
- 損害賠償法の過失除外要件と適用条件
- 判例から見る過失認定のポイント
この記事は、車が故障して事故が起きた場合に運転者に過失が認められるかどうかを、法令と判例を踏まえて直接答える記事です。
故障時の運転者の注意義務と法的根拠
道路交通法は、故障等で本線車道等の走行が不可能になったときの具体的な手続きを規定しています。
- 停止義務:故障したら速やかに本線車道等以外に移動させる必要があります(道路交通法第75条の十一第2項).
- 表示義務:故障車両が停止していることを「故障表示」しなければなりません(同条第1項)。
この義務を怠ると、他の道路利用者に危険を及ぼしたとみなされ、過失運転として評価されやすくなります。
自動車損害賠償保障法が定める過失除外要件
自動車損害賠償保障法第3条は、運転者が「注意を怠らなかった」ことや「構造上の欠陥がなかった」ことを証明できれば、損害賠償責任から除外できる旨を規定しています。
「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、…ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと…」【自動車損害賠償保障法第三条】
したがって、故障が「予見不可能な機械的故障」であり、運転者が適切に故障表示・停止を行った場合は、過失除外が主張できる余地があります。
判例が示す過失認定の実務
故障車の放置が過失とされたケース(CASE 6)
最高裁判例(昭和47年7月25日)では、国道上に故障した大型貨物自動車を約87時間放置したことが「道路管理の瑕疵」ではなく、運転者側の過失として認められました。
判例要旨:故障車を速やかに除去せず放置した行為は、道路交通法上の注意義務違反に該当し、損害賠償責任が成立する(CASE 6 判例詳細)。
故障と他の過失が競合した事例(CASE 7)
最高裁は、事故に被害者側の過失があっても、加害者側の故障による注意義務違反が独立して認められると判断しました(CASE 7 判例詳細)。このことは、過失競合の原則が「過失が相殺される」わけではなく、各過失が別個に評価されることを示しています。
刑事過失運転との関係
過失運転致死傷に関する法律第5条は、注意義務を怠り人を死傷させた者に対し、7年以下の懲役または罰金を科す旨を定めています。故障時に適切な措置を取らず事故を起こした場合、民事上の過失だけでなく、刑事上の過失運転として処罰対象になる可能性があります。
「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する」【自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第五条】
まとめ
- 故障が判明したら、道路交通法第75条の十一に基づき速やかに停止・故障表示を行うことが過失回避の第一歩です。
- 自動車損害賠償保障法第3条は、注意義務を尽くした場合に過失除外を認めるため、故障原因と対策の記録が重要です。
- 判例(CASE 6・CASE 7)は、故障放置や他の過失との競合でも運転者の過失が認められることを示しており、実務でのリスク管理に活かせます。
- 故障時の過失は民事だけでなく、過失運転致死傷の刑事罰の対象にもなり得るため、適切な対応が求められます。
出典
よくある質問
故障したまま走行した場合、過失になる根拠は何ですか?
道路交通法第75条の十一は、故障で走行不能になったら速やかに停止・表示する義務を課し、怠ると過失が認められます。
自動車損害賠償保障法の過失除外はどんな場合に適用されますか?
同法第3条は、運転者が注意を怠らなかったことや構造上の欠陥がなかったことを証明できれば、過失責任が除外されます。
判例で故障車両の過失が認められた事例はありますか?
最高裁昭和47年7月25日判決(CASE 6)では、故障車を長時間放置したことが過失とされ、損害賠償責任が認められました。
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