未成年の契約は取り消せますか?具体例で解説
未成年者が結んだ契約は、法定代理人の同意がない限り原則取り消せます。その根拠と具体例、判例を司法試験対策向けにわかりやすく解説します。
先に結論
未成年者が結んだ契約は、法定代理人の同意がない限り原則取り消せます。 その根拠と具体例、判例を司法試験対策向けにわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 未成年者の契約は原則取り消し可能、同意が鍵
- 取消権の行使期間と手続きのポイントを整理
- 実務で出やすい判例と具体的シナリオを提示
この記事は何に答える記事か
未成年者が結んだ契約は、法定代理人の同意がない限り原則取り消すことができ、その手続きと具体例を解説します。
1. 未成年者の契約取り消しの根拠 ― 民法第5条・第120条
未成年者(20歳未満)は制限行為能力者です。民法第5条は次のように定めています。
「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。」 ただし、単に権利を得、又は義務を免れる行為は除く。 「前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。」 民法第5条
さらに、取り消しができるのは「本人」または「法定代理人」に限られます(第120条)。
「取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人に限る。」 民法第120条
ポイント
- 同意がない契約は原則取り消し対象。
- 日用品の購入など、単に権利取得だけの行為は例外。
2. 取り消しの手続きと時効 ― いつまでに主張できるか
2‑1. 取り消し権の行使期間
民法第20条は、制限行為能力者が成年に達した後の取り消し権行使について規定しています。
「成年に達した後、一か月以上の期間を定めて、取り消すことができる行為を追認するかどうか催告できる。」 民法第20条
実務上は、成年に達した日から1か月以内に意思表示をしなければ、黙示的に追認されたとみなされることが多いです。
2‑2. 具体的な手続き
- 取り消し意思の通知
- 書面で相手方に「契約を取り消す」旨を伝える。
- 相手方の承諾が得られない場合
- 裁判所に取消訴訟を提起(民法第5条2項の根拠)。
- 原状回復
- 受領した金銭や物品の返還が求められる(第121条の二)。
3. 具体例と判例で見る「取り消し」の実務感覚
3‑1. 具体例①:未成年者がスマートフォンを購入したケース
- 事実:17歳のAが親の同意なしにスマートフォンを1,200,000円で購入。
- 問題点:金額が高額であり、単なる権利取得(所有権取得)だけでなく義務(代金支払)が伴う。
- 法的評価:民法第5条2項により、A本人または親権者は取り消し可能。
- 手続き:親権者が販売店に書面で取消しを通知し、代金返還を請求。
3‑2. 具体例②:未成年者がアルバイト契約を結んだケース
- 労働基準法第58条は「親権者が不利と認めた場合、労働契約を解除できる」旨規定。
- 例:15歳のBが深夜勤務を含むアルバイト契約を締結。親が「不利」と判断し解除を申し入れた。
- 判例としては、最高裁昭和27(オ)948で「解除」の表現でも「取消し」とみなす判断が示されています。
3‑3. 判例から学ぶポイント
| 判例 | 争点 | 学ぶべきポイント | |------|------|-------------------| | 昭和27(オ)948 | 「解除」でも取消しとみなすか | 表現より実質的効果が重要(最高裁) | | 昭和24(オ)191 | 親権者が同意なしに家屋譲渡 | 同意欠缺は取消し対象(民法第5条) | | 昭和29(オ)730 | 黙示的取消しの要件 | 意思表示が明確であることが必要 |
まとめ
- 未成年者の契約は原則取り消し可能で、法定代理人の同意がない限り有効ではない(民法第5条)。
- 取り消し権は成年になるまで、または成年後1か月以内の催告で行使できる(第20条)。
- 具体例(高額購入、労働契約)と判例(昭和27(オ)948 など)を通じて、実務での意思表示や手続きのポイントが見えてくる。
- 取り消しを主張する際は、書面での通知と必要に応じた訴訟提起を検討し、原状回復を求めることが基本となります。
出典
よくある質問
未成年者が単独で結んだ売買契約はすべて取り消せますか?
原則は取り消し可能ですが、日用品の購入などは例外です(民法第5条2項)。
取り消しの意思表示は必ず「取消し」の文字が必要ですか?
必ずしません。最高裁は「解除」でも実質的に取消しと認める判例があります(昭和27(オ)948)。
未成年者が労働契約を結んだ場合はどうなるのですか?
労働基準法は親権者が不利と判断すれば解除できる旨規定しています(労働基準法第58条)。
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