被告人が上告趣意書を提出せず、辯護人が刑訴法第四二三條の法定期間内に、上告趣意書を提出し、當審におけるその選任屆を右期間經過後に提出した場合は、たとえ、同人が原審において、被告人の辯護人であつたとしても、同法第四二七條にいわゆる(上告申立人期間内ニ上告趣意書ヲ提出セサルトキニ」該當する。
上告趣意書提出期間經過後辯護屆を提出した辯護人の上告趣意書の効力
刑訴法423條,刑訴法41條1項,刑訴法427條
判旨
上告趣意書提出期間内に弁護人が選任届を提出していない場合、期間内に趣意書が提出されたとしても、刑事訴訟法427条(旧法)の「上告趣意書を提出しないとき」に該当し、上告は棄却される。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法423条(現行法376条1項参照)の定める上告趣意書提出期間内に、選任届を提出していない弁護人が上告趣意書を提出した場合、同法427条(現行法385条1項参照)の「上告趣意書を提出しないとき」に該当するか。
規範
上告審において有効な弁護活動を行うためには、上告趣意書の提出期間内に正当な権限を有する弁護人としての選任届が裁判所に提出されていなければならない。原審における弁護人であったとしても、上告審での選任届が提出期間を経過した後に提出された場合は、期間内に上告趣意書が提出されなかったものとみなされる。
重要事実
被告人は銃砲等所持禁止令違反につき有罪判決を受け、上告を申し立てたが、法定期間内に自ら上告趣意書を提出しなかった。弁護人は期間内に上告趣意書を提出したが、当該弁護人の上告審における選任届が裁判所に提出されたのは、趣意書提出期間の経過後であった。なお、当該弁護人は被告人の原審における弁護人であった。
事件番号: 昭和25(れ)1275 / 裁判年月日: 昭和25年12月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意が原判決の違法を主張するものでない場合には、上告の適法な理由とはならないため、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人が上告を申し立て、上告趣意書を提出したが、その内容が原判決の違法を主張するものではなかった。 第2 問題の所在(論点):上告趣意において原判決の違法を主張していな…
あてはめ
本件において、弁護人は期間内に上告趣意書を提出しているものの、その資格を証明する選任届の提出は期間経過後になされている。たとえ原審での弁護人であったとしても、審級ごとに選任の効力が生じる以上、期間内に選任届がない状態での提出は有効な訴訟行為とは認められない。したがって、被告人本人も提出していない以上、期間内に有効な趣意書が提出されたとはいえないと評価される。
結論
本件上告は、期間内に上告趣意書が提出されなかったものとして棄却される。
実務上の射程
弁護人の選任および訴訟行為の有効性に関する判断枠組みを示す。実務上、弁護人が上告審で活動する際は、趣意書提出前に必ず選任届を提出すべき義務を裏付ける。現行法下の法385条1項の適用においても、弁護人の資格具備の適否を判断する際の基準となる。
事件番号: 昭和25(あ)835 / 裁判年月日: 昭和26年2月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本決定は、被告人の上告について、刑事訴訟法405条所定の上告理由に当たらないとして棄却した事案である。判旨の内容は、個別の法律論を示すものではなく、上告適格の有無を形式的に判断したにとどまる。 第1 事案の概要:本件において被告人側から提出された上告趣意について、最高裁判所が記録を精査したところ、…
事件番号: 昭和26(れ)1235 / 裁判年月日: 昭和26年11月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決文には具体的判断の理由が示されていないが、上告趣意に刑訴法405条の事由がなく、411条を適用すべき職権調査の必要性もないとして、原判決の維持を結論づけたものである。 第1 事案の概要:本件における被告人側の弁護人が、原判決に対して刑訴法405条所定の事由があるとして上告を申し立てた事案。具体…
事件番号: 昭和25(あ)1583 / 裁判年月日: 昭和26年6月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本決定は、被告人の上告趣意が刑訴法405条の上告理由に当たらず、かつ記録を精査しても同法411条を適用して職権で判決を破棄すべき事由も認められないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人が原判決(詳細は判決文からは不明)に対して上告を提起した事案である。被告人は上告趣意書を提出…
事件番号: 昭和25(あ)2458 / 裁判年月日: 昭和26年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が単なる訴訟法違反や量刑不当の主張に留まり、刑訴法405条の定める上告理由に該当しないとして棄却された事例である。 第1 事案の概要:弁護人は、第一審または控訴審の判断に対し、訴訟手続に違反がある点(訴訟法違反)および言い渡された刑罰が重すぎる点(量刑不当)を理由として上告を申し立…