令和7年 司法試験予備試験 論文式試験 選択科目 第1問
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[倒産法] 【対象設問】本文 【対象設問本文】 [倒 産 法] [倒 産 法] 次の【事例】について、以下の設問に答えなさい。 なお、解答に当たっては、文中において特定されている日時にかかわらず、令和7年1月1日現 在において施行されている法令に基づいて答えなさい。 【事例】 A社は、精密機械部品の製造・販売を業とする株式会社であるところ、近年、主力製品の受注が 減少して経営状態が悪化し、令和5年10月頃には資金繰りに窮する状況に陥っていた。同年1 1月末日には主要取引銀行であるB銀行に対する借入金債務の弁済期が到来するため、A社は私 的整理を行い、B銀行をはじめとする金融機関への返済計画を立案することとした。そこで、同 月16日、借入れのある全ての金融債権者を対象として債権者会議を開催し、現状分析や返済計 画などを盛り込んだ事業再生計画策定の方針や今後のスケジュール等についての説明を行うとと もに、令和6年5月末日まで借入金元本の弁済の一時猶予を依頼した。同会議に参加した金融債 権者からは様々な意見が出たものの、A社につき私的整理を進めること自体に異議はなく、一時 猶予についても了解が得られた。令和6年5月には再度債権者会議が開催され、A社から事業再 生計画案を立案中であるとの説明がされたため、借入金元本の弁済猶予期間が同年8月末日まで 伸長された。 その後、B銀行は、A社に事業再生計画案の提示が遅れている理由などを質問したが、その回 答内容に不審な点があったため、調査を行った。その結果、A社に粉飾決算の疑いや不明瞭な資 金流出があることが発覚した。そこで、B銀行は、A社に説明を求めたが、A社から粉飾決算や 資金流出の具体的内容についての説明はされなかった。このような状況の下、令和6年8月に開 催された債権者会議においても、A社からこれらの点について十分な説明がされなかったため、 私的整理の協議は打切りとなり、同月末日に借入金元本の猶予後の弁済期限が到来した。それに もかかわらずA社は特段の対応を採ろうとしなかったため、B銀行は、同年11月1日、債権者 として、裁判所にA社の破産手続開始の申立てをした。同申立てを受けた裁判所は、同年12月 9日、A社の破産手続開始の決定をし、破産管財人としてXを選任した。 〔設 問〕 以下の1から3については、それぞれ独立したものとして解答しなさい。 1 B銀行は、A社に対して6000万円を貸し付けるに当たり(以下「本件貸付債権」とい う。)、A社の所有する土地建物(以下「本件土地建物」という。)に本件貸付債権を被担保 債権とする抵当権の設定を受け、その旨の抵当権設定登記を備えていた(以下「本件抵当権」 という。)。 B銀行は、本件貸付債権の回収に当たり、本件抵当権の実行として担保不動産競売手続開始 の申立てを行うことを想定しており、A社の破産手続開始の時点では、本件土地建物の競売に より本件貸付債権のうち4000万円を回収できると見込んでいた。なお、本件土地建物には、 本件抵当権以外の担保権は設定されていなかった。 ⑴ A社の破産手続開始後、B銀行の上記担保不動産競売手続開始の申立てが認められるかに ついて説明しなさい。 ⑵ B銀行は、A社の破産手続において、本件貸付債権を破産債権として行使することができ るか。破産債権の届出事項についても留意しつつ、説明しなさい。 2 破産手続開始時において、①C銀行がA社を被告として提起した貸金返還請求訴訟及び②D 社がA社を被告として提起した売掛金支払請求訴訟が、それぞれ第一審裁判所に係属していた。 その後、A社の破産手続での債権調査期日において、C銀行が届け出た貸付債権についてはX が認めるとともに、届出をした他の破産債権者からの異議もなかったが、D社が届け出た売掛 金債権についてはXが認めなかった。 以上の場合において、上記①及び②の各訴訟は、A社の破産手続との関係でどのような影響 を受けるかについて説明しなさい。 3 破産手続開始の決定を受けたA社は、同決定に対抗して、再生手続開始の申立てをした。こ のとき、以下の①及び②のそれぞれにおけるA社の破産手続の帰すうについて説明しなさい。 ① 再生手続開始の申立て後、裁判所によって同申立てについての決定がされるまで ② 裁判所によって再生手続開始の決定がされた後 論文式試験問題集