令和7年 司法試験 論文式試験 国際関係法(公法系) 第1問
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〔第1問〕(配点:50) A国は、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(以下「社会権規約」という。)及び 市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下「自由権規約」という。)に署名したが、その後、 両国際規約を実施するために必要な国内法の整備を行わず、いずれの国際規約も批准していなかっ た。A国の憲法上、条約を締結する権能を有しているA国の大統領は、「A国は、もはや社会権規 約及び自由権規約の当事国となる意図はない。」と国際連合事務総長に通告した。 B国は、公務員に結社の自由や団結権を認めない国内法制度を有していることで知られている。 B国は、そのような国内法制度を有していることに鑑みて、社会権規約及び自由権規約を批准する 際に、「B国は、社会権規約第8条第2項を想起し、自由権規約第22条第2項にいう『軍隊及び 警察の構成員』を『軍隊若しくは警察の構成員又は公務員』と解釈するものであることを宣言す る。」という声明を付した。C国は、B国が付した声明に対し異議を申し立てた。 D国及びE国は、自由権規約を批准する際に、それぞれ自由権規約第41条に基づく宣言を行っ ていた。E国は、自由権規約に基づく義務がD国によって履行されていない旨を主張して、自由権 規約第28条に基づいて設置された人権委員会に通報を行った。E国による同委員会への通報が行 われたことを知ったD国の野党の党首は、「D国は、自由権規約第41条に基づく宣言を撤回する とともに、自由権規約から脱退すべきである。」と主張するようになった。 A国〜E国は、いずれも条約法に関するウィーン条約(以下「条約法条約」という。)の当事国 である。また、B国〜E国は、それぞれ自国について条約法条約が効力を生じた後に社会権規約及 び自由権規約を批准している。 以上の事実を基に、以下の設問に答えなさい。 〔設問1〕 A国の大統領が行った通告は国際法上どのような意義を有しているかについて論じなさい。 〔設問2〕 B国が社会権規約及び自由権規約を批准する際に付した声明に対し、C国が異議を申し立てた のは、国際法上どのような主張に基づいていると考えられるかについて論じなさい。 〔設問3〕 D国による自由権規約からの脱退が国際法上認められるかについて論じなさい。