令和7年 司法試験 論文式試験 倒産法 第2問
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〔第2問〕(配点:50) 次の【事例】について、以下の設問に答えなさい。 なお、解答に当たっては、文中において特定されている日時にかかわらず、令和7年1月1日現 在において施行されている法令に基づいて答えなさい。 【事 例】 A社は運送業を営んでいたところ、経費が増大する一方、顧客への価格転嫁が十分にできなか ったことから、収益が悪化して資金繰りに窮し、公租公課も滞納するようになった。そこで、A 社は2社にスポンサー就任を打診したところ、うち1社であるB社から前向きな意向が示された ため、B社と諸条件について協議を行い、同社からスポンサー就任に関する意向表明書の提出を 受けた。そして、A社は、令和6年10月21日、裁判所に再生手続開始の申立てをしたところ、 同日、裁判所から監督命令が発せられ、監督委員が選任された。A社は、同月24日に開催した 債権者説明会において、B社をスポンサーに選定してその支援の下で事業の再生を図りたい旨を 説明した。また、A社は、監督委員の同意を得た上で、B社から当面の運転資金として、300 0万円を借り入れ(以下「本件借入れ」という。)、滞納公租公課の支払や当面の資金繰りに充 てた。その後、A社は、同月28日、裁判所から再生手続開始の決定を受けた。 B社の意向表明書に記載された条件は、A社事業の譲渡価格を1億3000万円とする、全て の従業員の雇用を継続する、既存取引先(再生債権者である仕入先を含む。以下同様とする。) も希望があれば引き続き取引を継続する、というものであった。 一方、再生債権者であるいわゆるノンバンクのC社(再生債権比率は15%であった。)は、 A社に対し、令和6年11月18日、スポンサー候補としてD社を紹介してきた。D社の条件は、 譲渡価格を1億5000万円とする、80%程度の従業員の雇用を継続する、既存取引先との取 引の継続は保証の限りではない、というものであった。 A社は、現在も事業を継続することができているのは、B社がスポンサー候補である旨を外部 に表明したことによる信用補完や本件借入れによる資金繰り支援が寄与していると判断しており、 譲渡価格以外の条件においてはB社がD社よりもスポンサーとして適していると考えて、当初の 方針どおりB社をスポンサーとし、再生計画外での事業譲渡をすることとした。 そこで、B社との間の最終的な条件を定めたスポンサー契約書と事業譲渡契約書について監督 委員の同意を得た上で、A社は、令和6年12月20日、裁判所に事業譲渡についての許可の申 立てをした(以下「本件申立て」という。)。同事業譲渡による再生債権者への弁済額はA社の 清算価値を上回る見込みであった。 本件申立てを受け、裁判所が全ての再生債権者(30社)に対して意向聴取をしたところ、A 社の主要資産に担保を有しているE銀行(再生債権比率30%)など多くの再生債権者からは異 議が示されなかった。その一方で、C社やF銀行(再生債権比率25%)など計5社から反対の 意見が示された。 A社は裁判所と協議した上、本件申立ては一旦取り下げ、再生債権者と対話を続けつつ、B社 をスポンサーとした事業譲渡の途を探ることとした。 〔設問1〕 C社は、譲渡価格の点でD社よりも劣るB社をスポンサーとするA社の方針に不服であるため、 管理命令の申立てを検討している。以下の(1)及び(2)について解答しなさい。 (1) 民事再生法では原則として管財人を選任することとはされていないことの趣旨について、管 財人が選任されない場合において再生債務者が果たすべき義務に言及しつつ説明しなさい。 (2) C社から管理命令の申立てがされた場合に裁判所はいかなる判断をすべきか。スポンサー選 定について、(1)で述べた再生債務者が果たすべき義務の具体的内容に言及しつつ論じなさい。 【事 例(続き・1)】 A社は、B社をスポンサーとして、令和7年1月21日、同社への事業譲渡を内容とする再生 計画案を裁判所に提出した。 A社の再生計画案は、書面投票の方法にて決議に付された。A社はこれまでの説明状況を踏ま え、再生債権者からおおむねの理解は得られたと判断していたが、C社とF銀行が反対したほか、 一部の再生債権者が投票を棄権したこともあり、可決要件を満たさず、否決された。そのため、 A社は、同年3月28日、裁判所から再生手続廃止の決定を受けた。 〔設問2〕 【事例】に加え、【事例(続き・1)】があった場合において、A社に対する再生手続廃止の 決定後の破産手続への移行について、同決定の確定の前後で場合を分けて説明しなさい。 【事 例(続き・2)】 A社は、再生手続廃止の決定後、直ちにB社と協議を行った結果、B社は、譲渡価格以外につ いては従前の条件を維持し、譲渡価格については1億5000万円に引き上げることとした。そ こで、A社は、債権者説明会を開催し、これまでの経緯やB社の上記条件等を説明した上で、令 和7年4月4日、再度、裁判所に再生手続開始の申立てをした。 〔設問3〕 【事例】に加え、【事例(続き・1)】及び【事例(続き・2)】があった場合において、A 社による再度の再生手続開始の申立てに対し、F銀行を含む他の再生債権者は「特に意見がな い」としているが、C社は「B社への事業譲渡を内容とする再生計画案は否決されたのだから、 なおB社をスポンサーとすることを目的とした再度の申立ては不当である。」と主張して強く反 対している。このとき、裁判所は、A社に対して再生手続開始の決定をすることができるかにつ いて論じなさい。 論文式試験問題集[租 税 法]