令和6年 司法試験予備試験 論文式試験 選択科目 第10問
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[環境法] 【対象設問】〔設問1〕 / 〔小問1〕 【共通前提】 [環 境 法] [環 境 法] 次の設例を読んで、以下の小問に答えなさい。なお、小問はいずれも独立したものである。 【設例】 A県内のB国立公園にある特別保護地区内には、国有林(ブナ林)があり、甲遊歩道が設置され ている。Xが甲遊歩道を散策していたところ、甲遊歩道の入口から約500メートルの地点(以 下、この地点を「本件現場」という。)において、突然付近の国有林にあったブナの木が甲遊歩道 上のXに向かって倒れてきたため(以下、倒木したブナの木を「本件ブナの木」という。)、Xは これを避けようとしてその場で転倒し、足を骨折する等全治3か月の怪我をした(以下「本件事 故」という。)。 本件現場の周辺地域は、国道に隣接して乙休憩所が設置され、同休憩所からブナ林内を2キロメ ートルほど進んだ特別保護地区内に、景観が良好なことで全国的にも知られている丙渓谷があっ た。甲遊歩道は、乙休憩所から丙渓谷までをつなぐ通路として設置されたものであって、甲遊歩道 には、約100メートルおきに休息のためのベンチが置かれていた。また、本件ブナの木の近くに もベンチが置かれており、観光客が本件ブナの木周辺において散策ないし休息することが予定され ていた。本件事故当時、甲遊歩道を通って丙渓谷を訪れる観光客は、年間約50万人程度であっ た。甲遊歩道は、国有地を借り受けたA県が設置したものであり、A県が維持管理を行っていた。 本件ブナの木は国有地上の天然木であり、本件事故前に、国とA県が毎年定期的に合同で実施して いる安全点検の際に、倒木のおそれがあるとは判定されていなかったが、本件事故後の調査により 木の内部の腐食が進んでいたことが倒木の原因であると判明した。 【小問】 ⑴ B国立公園内には「特別地域」のほかに「普通地域」がある。自然公園法上、普通地域内にお いて、広告物を設置する行為につき、事前にどのような手続をとる必要があるか。特別地域に おける上記行為に対する事前の手続的義務と対比しながら、根拠条文を挙げつつ、その手続の 内容を説明しなさい。併せて、その手続的義務に違反して当該行為に着手した者に対して、刑 事的な制裁を科すために環境大臣が採れる措置について説明しなさい。 ⑵ 丙渓谷を訪れる観光客が年々増加傾向にあり、それに伴って良好な景観の維持が困難となり、 管理にも支障が生じてきている。この場合に環境大臣が採り得る自然公園法上の措置を説明し なさい(ただし、当該措置を採るための手続については論じる必要はない。)。 ⑶ Xは、国及びA県に対し、損害賠償請求を検討している。どのような法的構成が考えられる か、根拠条文や要件を挙げつつ説明しなさい(ただし、甲遊歩道の設置管理に係る費用を負担 している観点からの責任については問わない。)。 ⑷ 現時点において、環境大臣は、A県内に新たに国立公園を指定し、かつ、その区域内に特別地 域を指定しようとしている。当該特別地域予定区域内に民有地が存在する場合、その指定に当 たって、所有者の同意が必要となるか。なお、国立公園の指定の前段階となる候補地の選定に 際しては、法規の性質を有しない要領が参考にされている。【資料1】は以前に用いられてい たものであり、【資料2】は現在用いられているものである。これらを踏まえつつ、土地所有 者の同意の要否について、そのように考える理由とともに説明しなさい。 【資料1】 自然公園選定要領(昭和27年9月)(抜粋) 自然公園は傑出した自然の風景地中、下の要件を具備するものにつき選定するものとする。 (略) 第2要件 土地 (略) 社寺有地、私有地を包含する場合にあっては、土地の所有その他の関係者が特別地域の設定 に協力的であること。 (以下略) 【資料2】 国立公園及び国定公園の候補地の選定及び指定要領(平成25年5月)(抜粋) 1 国立公園及び国定公園の候補地の選定 国立公園及び国定公園の候補地は、全国的な観点から検討を行い、以下の要件を満たす地域を選 定する。 (略) ⑸ 第5要件 地域社会との共存 候補地について、国立公園又は国定公園として保護及び利用することについて地域社会の理解 が得られること。 (以下略) 論文式試験問題集[国際関係法(公法系)] [国際関係法(公法系)] A国とB国は、海を挟んで向かい合っている。A国とB国との間の海には、無人島であるP島 があり、同島はA国の領土であることが古くから国際的に広く認められていた。 A国政府は、長年にわたる経済政策の失敗の結果、極端な財政難に陥り、国家財政の再建のため にP島をB国の利用に供して対価を得る方策を検討することになった。A国政府とB国政府は、P 島に関する条約を締結するための外交交渉を開始した。その結果、A国とB国は、「P島の租借に 関するA国とB国の間の条約」(以下「租借条約」という。)に署名し、同条約はその後A国及び B国の議会の承認を得て発効した。租借条約は、「B国は、P島をA国から本条約発効後50年間 にわたり租借し、その間B国はP島を自由に利用することができる。」(第1条)、「B国は、P 島を利用する対価として、A国に対して毎年1億米ドルの支払を行う。」(第2条)と規定してい た。なお、A国とB国は、共に国際連合加盟国であり、条約法に関するウィーン条約及び海洋法に 関する国際連合条約の当事国である。以上の事実関係を前提として、以下の各設問に答えなさい。 なお、各設問はそれぞれ独立したものであり、相互に関係はないものとする。 【参考:先行設問】 〔設問1〕 租借条約の規定に従って、B国がA国に対して最初の1億米ドルの支払を行うとともにP島の 利用を開始してから1か月後に、突如として巨大地震が発生してP島全体が低潮時においても水中 に没することとなった。この場合、B国はA国に対してどのような主張を行うことができるか。国 際法上の根拠を挙げながら論じなさい。 〔設問2〕 租借条約の締結に関するAB両国政府間の外交交渉の過程で、A国政府はB国政府に対して、 P島には未開発の貴重な鉱物資源が埋蔵されている旨を公式に通告し、B国は、この情報に基づい て租借条約を締結した。租借条約の発効後、B国はA国に対して毎年1億米ドルの支払を行い、別 途P島において多額の費用を掛けて鉱物資源の探査を行ったが、貴重な鉱物資源は全く発見されな かった。租借条約発効から3年が経過した時点で、A国政府がB国政府に通告したような鉱物資源 はP島には埋蔵されていなかったことが明らかとなった。この場合、B国はA国に対してどのよう な主張を行うことができるか。国際法上の根拠を挙げながら論じなさい。 〔設問3〕 租借条約発効の5年後、A国政府の財政状況が更に悪化したため、A国はB国と再度外交交渉を 行って租借条約を両国の合意に基づき終了させた上で、新たに「P島の主権移譲に関するA国とB 国の間の条約」(以下「主権移譲条約」という。)を締結し、同条約はその後A国及びB国の議会 の承認を得て発効した。主権移譲条約は、P島に関する主権をA国からB国に完全に移譲する対価 として、B国がA国に100億米ドルを支払うことを規定していた。B国がA国に100億米ドル の支払を行いP島に関する主権がA国からB国に完全に移譲された後、B国はP島を起点とする2 00海里の排他的経済水域及び大陸棚を設定する国内法を制定した。これに対して、B国と国境を 接し海に面しているC国は、「P島は無人島であるため、P島を起点としてB国の排他的経済水域 及び大陸棚を設定することは国際法に違反しており認められない。」と主張して、B国に抗議し た。C国のこのような主張に対して、B国はどのように反論できるか。国際法上の根拠を挙げなが ら論じなさい。なお、C国も国際連合加盟国であり、条約法に関するウィーン条約及び海洋法に関 する国際連合条約の当事国である。 論文式試験問題集[国際関係法(私法系)] [国際関係法(私法系)] 甲国人A男と日本人B女は、Bがワーキング・ホリデー制度を利用して甲国に滞在していたときに同 じ職場で知り合い、その後、甲国で適法に婚姻した。AとBは、婚姻後5年ほど甲国で共同生活を送 り、その間、二人の間に子C(甲国及び日本の重国籍)が生まれた。その後、Aが日本の会社に転職す ることになり、A、B及びCは一緒に日本に移り住み、それ以降、日本に居住している。 AとBは、乙国のリゾート地を気に入って長期の休暇の度に利用していたところ、Aは、日本に移り 住んでから1年後に、不動産業者Y(乙国法人。乙国に本店を有し、乙国以外には営業所や財産を一切 有しておらず、乙国以外で事業等を行っていない。)との間で、乙国のリゾート地の不動産αを購入す る契約を締結した。 以上の事実を前提として、以下の設問に答えなさい。なお、各問は独立した問いである。 【設問共通前提】 〔設問1〕 Aは、不動産αを購入したものの、その後AとBが共に仕事で忙しくなり、乙国で長期の休暇を過ご すことが難しくなった。そのため、Aは、不動産αを購入してから5年後、Yに対して不動産αの転売 を相談したところ、Yから、転売ではなく期限付きの会員制施設利用権購入契約(1年のうち決められ た期間だけ対象施設の独占的利用権が付与される契約)の対象とすることを勧められ、Yに不動産αの 運用を委託した。Yは、乙国への旅行客向けに、乙国内の滞在型宿泊施設の会員制施設利用権の購入を 勧めるセミナーを乙国内で定期的に開催していた。乙国を初めて旅行で訪れた日本人X(日本に常居所 ・住所を有する。)は、宿泊していたホテルのロビーに貼ってあったYの当該セミナーのポスターに目 を留めた。Xは、それまでYの名前を聞いたこともなくYという会社を知らなかったが、セミナー会場 がホテルのすぐ近くであることや参加者には無料のアフタヌーンティーが提供されるとの宣伝文句に興 味をひかれ、セミナーに行ってみることにした。Xは、セミナーの内容を聞き終わり、アフタヌーンテ ィーも満喫したため、Yの社員に「もう帰りたい。」と告げた。しかし、Xは、それまで愛想の良かっ たYの社員複数名から取り囲まれ、「契約を締結しないと帰さない。」と言われたため困惑し、その場 で、不動産αを毎年10月の1か月間独占的に利用することのできる会員制施設利用権購入契約(以下 「本件契約」という。)をYとの間で締結し、インターネットバンキングを利用して頭金100万円を 乙国所在のY名義の銀行口座に振り込んで支払った。なお、本件契約の契約書においては、紛争解決条 項として、「P条:本契約は、乙国法に準拠し、乙国法に従って解釈されるものとする。Q条:本契約 に関する一切の紛争は、乙国裁判所を専属的合意管轄裁判所とする。」と明記されていた。 Xは、日本に帰ってから本件契約を締結したことを後悔し、契約締結後1か月が経った頃、本件契約 に係る意思表示を取り消したいと思うようになった。そこで、Xは、Yに対して、日本の消費者契約法 第4条第3項第2号の適用及び同号に基づく本件契約に係る意思表示の取消しを主張した上で、支払済 みの金銭の全額の返還を求める訴え(以下「本件訴え」という。)を日本の裁判所に提起した。 【対象設問本文】 〔小問1〕 ⑴ 本件訴えについて、Yは、「本件契約の契約書中のQ条に基づき乙国裁判所に専属的管轄合意 がされているため、本件訴えは却下されるべきである。」と主張している。Yのこの主張は認めら れるかについて論じなさい。 ⑵ Yの⑴の主張が認められないとした場合に、本件訴えについて、日本の裁判所の国際裁判管轄 権が認められるかについて論じなさい。
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