令和5年 司法試験予備試験 論文式試験 選択科目 第16問
問題文と公式資料を一つにまとめ、出題の趣旨と採点実感の要点をすぐ確認できる学習ページです。
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[環境法] 【対象設問】〔設問〕 【共通前提】 [環 境 法] - - 20 [環 境 法] A社は、長年、B県内にCが所有する甲土地を賃借し、同土地上にカドミウムを含有する排水を 排出する(土壌汚染対策法上の)有害物質使用特定施設を伴う乙工場を保有し、これを稼働させて いたが、事業の見直しに伴い、乙工場の使用を廃止して解体・撤去した。Dは、甲土地付近の丙土 地を所有し、そこに居住し、庭に設置されていた井戸の揚水機によってくみ上げた井戸水を生活用 水として利用していた。 なお、以下の問いにおいて、水質汚濁防止法に基づく義務や措置は検討しなくてよい。 〔設問1〕 ⑴ 問題文の事例において、A社は、いかなる義務を負うか、根拠条文を挙げつつ説明しなさい。 ⑵ 問題文の事例において、B県知事は、A社以外に誰に対して、いかなる措置を採ることができ るか、根拠条文を挙げつつ説明しなさい。 ⑶ ⑵の場合において、B県知事からの措置を受けたA社以外の者は、これに対してどのような訴 訟を提起することができるか、説明しなさい。 〔設問2〕 問題文の事例において、 でA社が義務を履行した結果、甲土地の広範囲において汚染 〔設問1〕 状態に関する環境省令で定める基準を超えるカドミウムが検出され、その汚染により、人の健康に 係る被害が生じるおそれがあるものとして政令が定める基準に該当することが確認された。 ⑴ B県知事は、甲土地について、いかなる措置を採ることができるか、根拠条文を挙げつつ説明 しなさい。 ⑵ ⑴の措置が採られた後、B県知事は、A社又はCに対して、いかなる場合に、いかなる措置を 採ることができるか、根拠条文を挙げつつ説明しなさい。なお、⑴の措置が採られた後、CとA 社は、甲土地の賃貸借契約を解除し、A社は、甲土地をCに返還しているものとする。 ⑶ ⑵の場合において、B県知事の措置を受けてA社又はCが講じた実施措置が不十分な場合、B 県知事は、A社又はCに対して、いかなる措置を採ることができるか、根拠条文を挙げつつ説明 しなさい。 【参考:先行設問】 〔設問3〕 問題文の事例において、Dは、甲土地にカドミウム汚染があり、その影響が丙土地にも及ぶ可能 性があることを、新聞報道により知ったとする。この場合において、Dは、A社に対して、どのよ うな法的請求をすることが考えられるか、法的根拠と要件に言及しつつ、簡潔に説明しなさい(損 害賠償請求は考えなくてよい。)。 【資料】 ○ 土壌汚染対策法施行令(平成14年政令第336号)(抜粋) (特定有害物質) 第1条 土壌汚染対策法(以下「法」という。)第2条第1項の政令で定める物質は、次に掲げる物 質とする。 一 カドミウム及びその化合物(以下略) - - 21 論文式試験問題集[国際関係法(公法系)] - - 22 [国際関係法(公法系)] 【事例】 A国では、B国からの分離・独立を主張するB国内の少数民族団体αの指導により、在A国のB 国大使館前で連日デモ運動が行われ、その動きは日増しに激化していた。事態を憂慮したB国によ る警備強化の要請にもかかわらず、A国の対応は鈍く、A国の警察をB国大使館付近に配置して警 備に当たらせるなどの方策を講じることは一切なかった。そのような中、αのメンバーがデモに乗 じてB国大使館敷地内に火炎瓶を投げ込み、同大使館の建物に火災が発生した。 近隣住民の通報によりA国の消防隊が出動してB国大使館に到着したところ、B国大使館員は全 員、既に同大使館の敷地外に避難していたほか、B国大使もC国に出張して不在であり、A国から B国大使に連絡を取ることはできなかった。その間にも火災はB国大使館の建物全体に広がり、同 大使館の敷地周辺に所在する建物への延焼のおそれが生じたため、A国の消防隊は、B国から同国 大使館の敷地内への立入許可を得ることなく、敷地内で消火活動を開始した。B国大使館の建物は 全焼したが、早期の消火活動の結果、周辺建物への延焼は免れた。 A国の消防隊が消火活動を行う過程で、B国大使館内にC国国民Xが監禁されているのが発見さ れた。Xは消防隊員により救助され、B国大使館付近の病院に搬送された。また、A国の消防隊 は、A国外務省を通じて、Xを救助した旨を在A国のC国大使館に通報した。その後、病院でC国 領事がXと面会し事情を尋ねたところ、Xは、A国滞在中に、B国大使館員により強制的にB国大 使館に連行され監禁されたことが判明した。 在A国のB国大使は、A国の消防隊の消火活動が終了した後にA国に再入国し、この間のB国大 使館をめぐるA国の行為について、外交関係に関するウィーン条約(以下「外交関係条約」とい う。)の違反を理由にA国に対して抗議した。また、B国は、Xに関し、Xによるαへの活動支援 がB国国内法違反に当たる疑いがあるため、同人をB国大使館に連行して同大使館内に留置したの であり、後日B国へ移送する予定であったと主張して、A国に対しXの身柄の引渡しを求めた。こ れに対して、A国は、B国によるXの身柄の引渡請求には応じなかった。 Xは、退院後、在A国のC国大使館に身を寄せた。そして、C国は、Xの身体の自由が侵害され たことなどを理由にB国に対して外交的保護権を行使して損害賠償請求を行った。他方、A国は、 B国との間に、外交関係条約を含む国際法の解釈又は適用に関する紛争が存在することをB国に通 告したが、2か月経過してもB国からは仲裁裁判所への付託を含むいかなる回答も受領しなかった ことから、当該紛争を国際司法裁判所(以下「ICJ」という。)に付託することにした。 A国、B国及びC国はいずれも国連の原加盟国であるとともに、外交関係条約及び紛争の義務的 解決に関する選択議定書(以下「選択議定書」という。)の締約国であり、外交関係条約にもその 選択議定書にも留保は付していない。また、これら3国は、ICJ規程第36条第2項に基づく宣 言を留保なしに行っている。なお、A国とB国の間には犯罪人引渡しに関する条約は存在しない。 以上の事実を基に、以下の設問に答えなさい。 【対象設問本文】 〔設問〕 1.A国は、外交関係条約上、いかなる義務の違反に問われ得るかについて論じなさい。 2.B国大使館によるXの身柄の拘束について、A国がB国のいかなる国際法違反を問うことが可 能かについて論じなさい。 3.A国が前記設問2においてB国の国際法義務違反の追及が可能である場合、B国をICJに一 方的に訴えるために可能な裁判管轄権の基礎を全て論じなさい。 4.C国がB国に対して外交的保護権を行使するための要件を述べ、この事例においてその要件が 満たされるかどうかについて論じなさい。 - - 23 【参考資料】 選択議定書(抜粋) この議定書及び1961年3月2日から同年4月14日までウィーンで開催された国際連合の会 議において採択された外交関係に関するウィーン条約(以下「条約」という。)の当事国は、 条約の解釈又は適用から生ずるあらゆる紛争を、自国に関するものである限り、他の解決方法が 当事国により合理的な期間内に合意される場合を除くほか、国際司法裁判所の義務的管轄に付託する 希望を有することを表明して、 次のとおり協定した。 第1条 条約の解釈又は適用から生ずる紛争は、国際司法裁判所の義務的管轄の範囲内に属するものとし、 したがつて、これらの紛争は、この議定書の当事国である紛争のいずれかの当事国が行なう請求によ り、国際司法裁判所に付託することができる。 第2条 両当事国は、一方の当事国が、他方の当事国に対し、紛争が存在する旨の見解を通告した後2箇月 の期間内に、その紛争を国際司法裁判所にではなく仲裁裁判所に付託することにつき合意することが できる。前記の期間が経過した後は、いずれか一方の当事国は、請求により、当該紛争を国際司法裁 判所に付託することができる。 第3条 1 両当事国は、第2条に規定する2箇月の期間内においては、国際司法裁判所に付託する前に調停 手続を執ることにつき、合意することができる。 2 調停委員会は、その構成の後5箇月以内に勧告を行なわなければならない。勧告が行なわれた後 2箇月以内に紛争の当事国がその勧告を受諾しない場合には、いずれか一方の当事国は、請求によ り、当該紛争を国際司法裁判所に付託することができる。 - - 24 - - 25 論文式試験問題集[国際関係法(私法系)] - - 26 [国際関係法(私法系)] Aは、いずれも日本在住の甲国人である両親の間の子として日本で生まれ、ずっと日本で暮らし てきた。大学生になったAは、夏季休暇を利用して、一人で甲国内を1か月間旅行する計画を立 て、初めて甲国を訪れた。Aは、かつて両親から聞いた断片的な情報に基づき、甲国は夏でも比較 的過ごしやすい気候であると思い込んでいたが、実際に甲国に渡航して滞在してみると、連日、想 定していなかった厳しい暑さに見舞われたため、この暑さへの応急対策として、甲国の家電小売店 Pで手持ち式小型扇風機α(以下「α」という。)を購入した。αは、国際規格に準拠した方式の ケーブル・充電器により充電するタイプの内蔵バッテリーを動力源としており、Aがスマートフォ ン用に日本から持参していた携帯充電器によっても充電することができる上、大出力の駆動モータ ーによる強力な送風機能を備えているなど、利便性や使い心地の面で、Aにとって満足のいくもの であった。そこで、Aは、甲国滞在を終えて日本へ帰国するに際し、αを引き続き利用することと して日本へ持ち帰った。 Aは、帰国後間もなく、全国的に最高気温の観測記録が更新されるほどの猛暑の昼下がり、αを 使用しながら、京都の観光地区に近接する大学の図書館に向かって歩いていたが、観光客で混み合 う道に差し掛かったところで、突然、αが動作を停止してしまった。不審に思ったAが立ち止まっ てαの状態を確認すると、本体内部から白煙が上がっていたため、思わずαを放り投げたところ、 その直後、αは、路上に落下する前に空中で破裂した(以下、このαが破裂した事故を「本件事 故」という。)。 本件事故によって周囲に飛散したαの破片の一部は、たまたま近くを歩いていた東京からの観光 客Bの右目の付近に当たり、Bは、この負傷により右目の視力を失った。 甲国の隣国である乙国の法人で、αを製造したQ社は、日本を含む数か国で本件事故と同様の破 裂事故が発生していることを把握し、一連の事故の原因を究明するために内部調査を実施した。そ の結果、一連の事故が発生したαに使用されている内蔵バッテリーは全て、複数のサプライヤーの 一つである日本法人R社東京工場製のバッテリーβ(以下「β」という。)であり、極度に高温多 湿となる条件下でβを使用した場合に、まれに膨張・破裂するとの実験結果を得た。 なお、Q社は、営業所、工場等の拠点や財産を全て乙国内に置き、他国では営業活動も行ってお らず、αについても、その設計・製造から販売までを全て乙国内でのみ行っている。もっとも、甲 国や日本などの他国の業者が、乙国内で販売されているαを仕入れて、自国の消費者向けに販売す ることは広く行われている。Q社も、そのような他国での販売がαの売上げに大きく貢献している ことを認識して、αの全ての製品には、甲国語や日本語を含む多言語で並列的に記述した取扱説明 書を一律に同梱して販売している。 以上の事実を前提として、以下の設問に答えなさい。
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