令和5年 司法試験予備試験 論文式試験 選択科目 第11問
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[知的財産法] 【対象設問】〔設問1〕 【共通前提】 [知的財産法] - - 12 [知的財産法] 共に工作機械メーカーであるA社及びB社は、精密部品の加工用の工作機械に関する共同研究開 発契約(以下「本件契約」という。)を締結し、いずれも研究開発部門に所属する、A社の従業員 甲とB社の従業員乙が、勤務時間内に、A社及びB社の研究設備や施設を使用して共同研究開発し た結果、従来よりも精密で複雑な部品加工が可能な新たな工作機械を発明した(以下「本件発明」 という。)。本件発明の技術的思想の創作行為に対する甲及び乙の関与の程度は同等である。ま た、本件契約には、本件契約に基づき発明がなされた場合には、各社に特許を受ける権利が帰属す るために必要な措置をお互い講ずる旨の定めがあった。共同研究開発中、B社内では、乙の上司か ら、乙が行っている研究方針について反対の意向が示されていたが、乙は、これに従わずに研究を 継続した結果、本件発明に至ったものである。 A社の職務発明規程には、従業員が発明をするに至った行為が職務に属する場合には、当該発明 についての特許を受ける権利をA社が承継することができる旨の定めがあり、B社の職務発明規程 には、従業員が発明をするに至った行為が職務に属する場合には、その発明が完成した時に、当該 発明についての特許を受ける権利をB社が取得する旨の定めがあった。 以上の事実関係を前提として、以下の各設問に答えよ。ただし、設問1及び設問2にそれぞれ記 載した追加的な事実関係は、別個独立したものである。 【対象設問本文】 〔設問1〕 甲が、本件発明の完成後、A社に本件発明について報告したところ、A社は、本件発明の特許を 受ける権利を甲から承継することとし、甲とA社は、特許を受ける権利の譲渡に必要な手続を行っ た。他方、乙は、乙の上司の反対を押し切って本件発明を完成させたことから、本件発明の特許を 受ける権利は自己に帰属するものと考え、甲に対し、本件発明について一緒に特許出願をしようと 持ちかけた。しかし、甲は、A社との間で、特許を受ける権利の譲渡に必要な手続を済ませていた ことから、乙からの誘いを断った。そのため、乙は、本件発明について、乙を発明者として特許出 願を行い、その後、特許権の設定登録を受けた(以下、登録された権利を「乙特許権」とい う。)。 ⑴ 工作機械メーカーであるC社は、本件発明の実施品である工作機械(以下「C社機械」とい う。)の製造及び販売を開始した。乙がC社に対し、乙特許権に基づき、C社機械の製造及び販 売の差止めを請求した場合、この請求が認められるかについて論じなさい。 ⑵ 乙による単独出願を知ったA社及びB社は、乙に対し、乙特許権の移転を請求することができ るかについて論じなさい。