令和5年 司法試験 論文式試験 環境法 第2問
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〔第2問〕(配点:50) 小売業を営むXは、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(以下「容器包 装リサイクル法」という。)上の特定容器利用事業者として再商品化義務を履行するため、公益財 団法人日本容器包装リサイクル協会との間で再商品化に関する契約を締結して委託料を支払ってき た。Xは、容器包装リサイクル法が特定容器利用事業者に特定容器製造等事業者よりも過重な負担 を課するのは、憲法に違反し、容器包装リサイクル法の規定に係る国会の立法行為は違法であると 主張して、国家賠償を請求する訴訟を提起したいと考えている。 〔設問1〕 容器包装リサイクル法等における費用負担の考え方について以下の問いに答えなさい。 (1) 容器包装リサイクル法における費用負担はどのような考え方に基づいているか。その考え方 について説明しなさい。 (2) 1(1)の考え方は同法のどの点にあらわれているか、条文上の根拠を挙げつつ簡潔に説明しな さい。2その中には、規定の導入以降実際には機能を果たさなくなってきた規定もある。それ については、なぜ機能を果たさなくなってきたかについても説明しなさい。 (3) (1)の考え方は循環型社会形成推進基本法にも定められている考え方である。それは同法のど の点にあらわれているか、条文を挙げつつ答えなさい。 〔設問2〕 問題文との関連で、以下の問いに答えなさい。 (1) 現行の容器包装リサイクル法は、実際に容器の製造に関与していないともいえる特定容器利 用事業者に費用負担を課している。その背景にある実質的根拠は何か。 (2) 現行の容器包装リサイクル法において、特定容器利用事業者に特定容器製造等事業者よりも 過重な負担を課しているとするXの主張に関連する規定は、同法の条文のどの点か。 (3) (2)の規定については国には立法裁量があるとしても、立法上の適切さを考えた場合、立法論 としては、特定容器製造等事業者と特定容器利用事業者の負担は同等とした上で、双方の事業 者にインセンティブをより適切に与える他の方法も考えられる。【資料】を読み、どのような 方法が考えられるかを指摘しなさい。 (4) Xは、問題文の訴訟は提起せず、今後、委託料の支払を留保するという選択肢も考えている。 留保した場合、行政側はXに対してどのような措置を採ることが考えられるか。条文を挙げつ つ説明しなさい。 【資 料】 2015年に欧州委員会が発表した循環経済パッケージの中には製品デザインに対する具体的な提 案が2つある。そのうちの一つが調整料金制度である。こうした流れの中で、2016年の「OEC D(経済協力開発機構)ガイダンス改訂版」に調整料金制度が位置づけられたとみるべきだろう。ま たこれは、理論的に望ましいとされるリサイクラビリティに基づく製品課金を簡易的に導入したもの と捉えられる。ガイダンス改訂版2章の推奨事項でも、フルコスト、可変料金制、静脈セクター・消 費者からメーカーへの情報フロー拡大、PRO(Producer Responsibility Organisation)によるエ コデザイン投資への支援、国際協調と並んで、調整料金制度や新技術利用等の革新的方法の検討があ げられている。 フランスはEUの中でも調整料金制度を先駆的・積極的に導入している。(中略)具体的には、欧 州レベルの制度またはEUの規制に対応した7つの制度に加えて、フランス独自の制度として廃タイ ヤ(2004年)、印刷物等(ただし本・雑誌・新聞・行政文書は今のところ対象外:2007年)、 衣類・家庭用リネン類・履物(2009年)、在宅医療の注射針等(2013年)、家具(2013 年)、家庭用薬品廃棄物(2013年)、ボトル入りガスボンベ(2013年)、レジャー用・スポ ーツ用ボート(2018年から実施予定)の8つの制度がある。そのほか自主的取組としてオフィス 系インクカートリッジ(2000年)、農業用品(農薬容器、未使用農薬、農業用フィルム等:20 01年)、トレーラハウス(2010年)があげられている。2000年以降、順次拡大されており、 また制度改革も進められている。そうした制度改革の一つが調整料金制度である。 (中略)エコデザインを推進するために、特に製品デザインや耐用年数、使用後のリサイクル等の 環境面に関係する判断基準に基づいてPROへのリサイクル委託料金(contribution)を調整するこ とが定められた(フランス環境法L541-10-9条)。 (山川肇・廃棄物資源循環学会誌29巻1号39頁(抜粋)(引用に当たり、一部追記した。)) 論文式試験問題集[国際関係法(公法系)]