令和4年 司法試験予備試験 論文式試験 法律実務基礎科目(民事・刑事) 第7問
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[民事] 【対象設問】〔設問3〕 【共通前提】 [民 事] 司法試験予備試験用法文を適宜参照して、以下の各設問に答えなさい。 【参考:先行設問】 〔設問1〕 弁護士Pは、Xから次のような相談を受けた。 【Xの相談内容】 「私は、建物のリフォームを仕事としています。私は、Yとは十年来の付き合いで、Yが経営 する飲食店の常連客でもありました。私は、令和3年の年末頃、Yから、M市所在の建物(以下 「本件建物」という。)を飲食店に改修するための外壁・内装等のリフォーム工事(以下「本件工 事」という。)について相談を受け、令和4年2月8日、本件工事を報酬1000万円で請け負い ました。 令和4年5月28日、私は、本件工事を完成させ、本件建物をYに引き渡し、本件工事の報酬 として、1000万円の支払を求めましたが、Yは、700万円しか支払わず、残金300万円 を支払いませんでした。私は、本件工事の報酬の残金300万円と支払が遅れたことの損害金全 てをYに支払ってほしいと思います。」 弁護士Pは、令和4年8月1日、【Xの相談内容】を前提に、Xの訴訟代理人として、Yに対し、 Xの希望する金員の支払を求める訴訟(以下「本件訴訟」という。)を提起することとした。 以上を前提に、以下の各問いに答えなさい。 ⑴ 弁護士Pが、本件訴訟において、Xの希望を実現するために選択すると考えられる訴訟物を記 載しなさい。 ⑵ 弁護士Pが、本件訴訟の訴状(以下「本件訴状」という。)において記載すべき請求の趣旨(民 事訴訟法第133条第2項第2号)を記載しなさい。なお、付随的申立てについては、考慮する 必要はない。 ⑶ 弁護士Pが、本件訴状において記載すべき請求を理由づける事実(民事訴訟規則第53条第1 項)を記載しなさい。なお、いわゆるよって書き(請求原因の最後のまとめとして、訴訟物を明 示するとともに、請求の趣旨と請求原因の記載との結びつきを明らかにするもの)は記載しない こと。 ⑷ 弁護士Pが、本件訴状において請求を理由づける事実として、上記⑶のとおり記載した理由を 判例を踏まえて簡潔に説明しなさい。なお、訴訟物が複数ある場合は、訴訟物ごとに記載するこ と。 〔設問2〕 以下、XがYとの間で、令和4年2月8日に締結した報酬を1000万円とする本件工事の請負 契約を「本件契約」という。 弁護士Qは、本件訴状の送達を受けたYから次のような相談を受けた。 【Yの相談内容】 「(a) Xは、令和4年5月28日、本件工事を完成させ、私は、同日、本件建物の引渡しを受 け、Xに700万円を支払いました。しかし、私がXとの間で締結したのは、報酬を70 0万円とする本件工事の請負契約であり、本件契約ではありません。 私は、本件建物で飲食店を営業したいと考え、令和3年の年末頃、Xに本件建物のリ フォーム工事について相談をしました。Xが本件建物を見た上で、本件工事は700万 円程度でできると述べたので、私は、令和4年2月8日、Xとの間で、報酬を700万 円とする本件工事の請負契約を締結しました。したがって、私が本件工事の報酬として Xに支払うべき金額は、1000万円ではなく700万円であり、未払はありません。 仮に、Xと私との間で、本件契約が締結されたというのであれば、Xは、令和4年5 月28日、次のようなやり取りを経て、私に本件工事の報酬残金300万円の支払を免 除しましたので、私はそれを主張したいと思います。 私は、令和4年5月28日、本件建物の引渡しを受ける際、本件建物の外壁に亀裂が あるのを発見しました。私がその場で、Xに対し、外壁の修補を求めたところ、Xは、 この程度の亀裂は自然に発生するもので修補の必要はないと言い、本件工事の報酬10 00万円を支払うよう求めてきました。私は、本件工事の報酬は700万円だと思って いましたので、それを強く言うと、Xは、そのようなことはないなどと言っていました が、最終的には、『700万円でいい。残りの300万円の支払はしなくてよい。』と言 いましたので、私は、700万円を支払って、本件建物の引渡しを受けました。 (b) 本件建物の外壁の亀裂は、その後、とんでもないことになりました。 令和4年6月初旬、雨が降り続いた際、本件建物の外壁の亀裂が原因で雨漏りが生じ ました。私は、このままでは安心して本件建物で営業ができないと思い、同月10日、 Xに対し、本件建物の外壁の亀裂から雨漏りが生じたことを伝え、外壁の修補を求めま したが、Xから断られましたので、損害賠償を請求する旨を伝えました。そして、私は、 本件建物の外壁の補修工事を別の業者に依頼し、その報酬として350万円を支出しま した。」 弁護士Qは、【Yの相談内容】を前提に、Yの訴訟代理人として、本件訴訟の答弁書(以下「本 件答弁書」という。)を作成した。 以上を前提に、以下の各問いに答えなさい。 ⑴ 弁護士Qは、【Yの相談内容】(a)を踏まえて、抗弁を主張することとした。その検討に当た り、本件訴訟において、抗弁として機能するためには、以下の(ア)及び(イ)の事実が必要 であると考えた。 (ア) 〔 〕 (イ) Xは、Yに対し、令和4年5月28日、本件契約に基づく報酬債務のうち300万円の支 払を免除するとの意思表示をした。 (ⅰ) (ア)に入る具体的事実を記載しなさい。 (ⅱ) 弁護士Qが、(ア)の事実が必要であると考えた理由を簡潔に説明しなさい。 ⑵ 弁護士Qは、【Yの相談内容】(b)から、YはXに対し、契約不適合を理由とする債務不履行に 基づく350万円の損害賠償債権を有すると考えた。弁護士Qがこの350万円の回収方法とし て、本件訴訟手続を利用して選択できる訴訟行為を判例を踏まえて挙げなさい。 【対象設問本文】 〔設問3〕 本件訴訟の第1回口頭弁論期日において、本件訴状及び本件答弁書等は陳述された。弁護士Pは、 その口頭弁論期日において、本件工事の報酬の見積金額が1000万円と記載された令和4年2月 2日付けのX作成の見積書(以下「本件見積書①」という。)を書証として提出し、これが取り調 べられたところ、弁護士Qは、本件見積書①の成立を認める旨を陳述した。 これに対し、弁護士Qは、本件訴訟の第1回弁論準備手続期日において、本件工事の報酬の見積 金額が700万円と記載された令和4年2月2日付けのX作成の見積書(以下「本件見積書②」と いう。)を書証として提出し、これが取り調べられたところ、弁護士Pは、本件見積書②の成立を 認める旨を陳述した。 本件訴訟の第2回弁論準備手続期日を経た後、第2回口頭弁論期日において、本人尋問が実施さ れ、本件契約の締結に関し、Xは、次の【Xの供述内容】のとおり、Yは、次の【Yの供述内容】 のとおり、それぞれ供述した(なお、それ以外の者の尋問は実施されていない。)。 【Xの供述内容】 「私は、令和3年の年末頃に、Yから本件建物を飲食店にリフォームをしてもらえないかと頼 まれ、本件建物を見に行きました。Yは、リフォームの費用は銀行から融資を受けるつもりなの で、できるだけ安く済ませたいと言っていました。私は、Yの要望のとおりのリフォームをする のであれば1000万円を下回る報酬額で請け負うのは難しいと話し、本件工事の報酬金額を1 000万円と見積もった本件見積書①を作成して、令和4年2月2日、Yに交付しました。Yが 同月8日、本件工事を報酬1000万円で発注すると言いましたので、私は、同日、本件工事を 報酬1000万円で請け負いました。見積金額が700万円と記載された本件見積書②は、Yか ら、本件建物は賃借している物件なので、賃貸人に本件工事を承諾してもらわなければならない が、大掛かりなリフォームと見えないようにするため、外壁工事の項目を除いた見積書を作って ほしいと頼まれて作成したものです。実際、私は、本件工事として本件建物の外壁工事を実施し ており、本件見積書②は実体と合っていません。私は、Yは本件見積書①を銀行に提出し、同年 5月初旬に銀行から700万円の融資を受けたと聞いていますが、本件見積書②を賃貸人に見せ たかどうかは聞いていません。私は、契約書を作成しておかなかったことを後悔していますが、 私とYは十年来の仲でしたので、作らなくても大丈夫だと思っていました。 以上のとおり、私は、Yとの間で、令和4年2月8日、本件契約を締結しました。」 【Yの供述内容】 「私は令和4年2月8日、Xに本件工事を発注しましたが、報酬は1000万円ではなく、7 00万円でした。Xが私に対し、1000万円を下回る報酬額で請け負うのは難しいと言ったこ とはなく、令和3年の年末頃に本件建物を見た際、700万円程度でできると言い、令和4年2 月2日、本件工事の報酬金額を700万円と見積もった本件見積書②を私に交付しました。そこ で、私は、同月8日、Xに対し、本件工事を報酬700万円で発注したいと伝え、Xとの間で、 本件工事の請負契約を締結したのです。私から外壁工事の項目を除いた見積書を作ってほしいと は言っていません。確かに、本件見積書②には、本件工事としてXが施工した外壁工事に関する 部分の記載がありませんが、私は、本件見積書②の交付を受けた当時、Xから、外壁工事分はサ ービスすると言われていました。本件見積書①は、私が運転資金として300万円を上乗せして 銀行から融資を受けたいと考え、Xにお願いして、銀行提出用に作成してもらったものです。私 は、本件見積書①を銀行に提出しましたが、結局、融資を受けられたのは700万円でした。本 件見積書②は、本件工事の承諾を得る際、賃貸人に見せています。」 以上を前提に、以下の問いに答えなさい。 弁護士Pは、本件訴訟の第3回口頭弁論期日までに、準備書面を提出することを予定している。 その準備書面において、弁護士Pは、前記の提出された書証並びに前記【Xの供述内容】及び 【Yの供述内容】と同内容のX及びYの本人尋問における供述に基づいて、XとYが本件契約を締 結した事実が認められることにつき、主張を展開したいと考えている。弁護士Pにおいて、上記 準備書面に記載すべき内容を、提出された書証や両者の供述から認定することができる事実を踏 まえて、答案用紙1頁程度の分量で記載しなさい。なお、記載に際しては、冒頭に、XとYが本 件契約を締結した事実を直接証明する証拠の有無について言及すること。
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