令和4年 司法試験予備試験 論文式試験 選択科目 第10問
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[環境法] 【対象設問】〔設問2〕 【共通前提】 [環 境 法] [環 境 法] 景観及び眺望に関する以下の設問において、AがB社に対して訴訟を提起する場合、当該訴訟に おいてどのような主張をすることが考えられるか。なお、仮処分については解答しなくてよい。 【参考:先行設問】 〔設問1〕 P市Q駅南口から直線状に延びる公道のうち同駅南口から1.2キロメートルの道路は、「R通り」 と称され、幅員が44メートルと広く、道路の中心から左右両端に向かって車道、自転車レーン、 緑地及び歩道が配置され、緑地部分には100本を超える桜や銀杏等が植樹され、並木道が整備さ れ、良好な景観が形成されている。従来、R通り沿道地域の建築物は高さ20メートル未満とする ことを基本にしてきたが、B社はR通り南端に位置する土地を購入し、地上14階建て・高さ44 メートルのマンション(以下「本件マンション」という。)を建築することとし、完成した。なお、 本件マンションは建築規制に関する行政法規には違反していない。また、P市では、本件マンショ ンの建設当時、上記の景観を保護する法令上の独自の方策を講じていなかった。 R通りに面し、かつ、本件マンションの近隣に位置する土地の地権者であるAは、本件マンショ ンは景観を侵害するものとして、B社に対する法的手段を検討している。なお、本設問の解答に当 たっては、差止め及び原状回復については問わない。 【対象設問本文】 〔設問2〕 S湾に面したT町は、緑豊かな自然が多く残る風光明媚な地域であり、T町は、良好な景観の保 持のために積極的な施策を続けてきた。AがT町のこのような地域に所有する居宅からは、S湾の 美しい眺望を一望できる。Aは、このような景観及び眺望の享受を主な目的として居宅を構えたも のである。 B社は、Aの居宅に近接する土地において、大規模な太陽光発電設備(以下「本件設備」という。) を設置して太陽光発電事業(以下「本件事業」という。)を営む計画を立てている。本件事業は、相 当数の世帯を賄えるだけの電力を地域に供給し、非常時に携帯電話等を充電できる設備も地域住民 に供用する計画である。また、B社は、太陽光発電設備の設置に係るT町の条例に従い、地域住民 に対して本件事業に関する説明会を実施したほか、関係法令を遵守している。しかし、本件設備が 完成すれば、地域の景観の相当部分に本件設備が広がるとともに、Aの居宅からのS湾の眺望のか なりの部分を遮ることにもなる。 Aは、B社に対する法的手段を検討している。本設問の解答に当たっては、予想されるB社の反 論を踏まえつつ、論じなさい。なお、損害賠償請求については問わない。また、問題文中に挙げた もの以外に、条例の内容は考慮しなくてよい。 論文式試験問題集[国際関係法(公法系)] [国際関係法(公法系)] アフリカ中央部に位置するA海外州及びB海外州は、ヨーロッパのC国の植民地として19世紀 初頭から統治されていた。互いに隣接するA・B両海外州の間には山脈があり、その分水嶺は、C 国の国内法で同国の行政区画線の一部としてこれら2つの海外州間の境界線を構成していた。20 世紀に入ると、1930年代からC国内が革命により内乱状態となり、A・B両海外州もその影響 を受けたが、A海外州はその混乱に乗じて、B海外州との間の山脈を越えたところにあるB海外州 内のα地域に税務事務所を設置して、同地域における徴税に係る活動を開始した。これに対してB 海外州は、A海外州に抗議して、A海外州がα地域に設置した税務事務所の撤去を求めるとともに、 当該税務事務所の撤去をA海外州に命ずるようC国に上申したが、A海外州もC国も、こうしたB 海外州の求めに対していかなる対応も行わなかった。 その後、脱植民地化の過程において、A海外州もB海外州も、1960年にそれぞれA国及びB 国としてC国からの独立を果たし、A・B両国は、その独立直後から両国間の国境画定条約を締結 するための交渉を行ってきた。ところが、A国は、α地域を自国領と主張し、その独立直後から同 地域に自国軍隊を駐留させたため、B国は、こうしたA国の行動に対して定期的に抗議を行ってき た。しかし、A国は、更に警察や住民登録のための行政機関等を現地に常駐させるなど、α地域に 対する実効的な支配を強化していったことから、α地域に関係する国境線だけはA国とB国との間 で合意に至らず、常に紛争の火種となっていた。そこで、B国は、1990年に、A国を相手に、 α地域における国境線の画定問題を国際司法裁判所(以下「ICJ」という。)に一方的に付託した ところ、A国は、ICJに出廷する意思を示さず、この問題についてICJが判断を下すことはで きない旨の書簡をICJに送付した。 他方で、A国とB国は、自国の安全保障の観点から、C国及びC国に隣接するD国とともに、1 995年に軍備管理に関するP条約を批准した。この条約によると、当事国は、核兵器を開発も保 有もしないこと(2条)、正規軍の兵員数の上限を2万人とすること(3条)とされていた。なお、 D国は、P条約第2条について、「この規定は、いかなる状況においても、D国には適用されない。」 という留保を付した上でP条約を批准したところ、C国のみがD国の批准の3か月後にD国の留保 に異議を申し立てた。なお、P条約には留保に関する規定が置かれていなかった。 B国は、A国との国境画定交渉が停滞していることを不満として、2000年頃からα地域を武 力で奪還すべく正規軍の規模を3万人に増やし、その半数の兵力をα地域の近くに配置した。これ に対してA国は、P条約第3条の運用を停止すると宣言し、正規軍の兵員数を4万人まで増員して、 そのおよそ半数の兵員をα地域に駐留させることを決定した。また、A国は、その当時B国内で生 じていた反政府デモを利用し、このデモを指導していた政治団体Sに対して、資金のほか武器・弾 薬等も供与してB国内の状況を更に混乱させようとしたため、この動きを察知したB国は、個別的 自衛権の行使を主張してα地域に自国軍隊を進め、B国軍隊は、α地域に駐留していたA国軍隊と の間で交戦状態に入った。 A国、B国、C国及びD国は、いずれも国際連合(以下「国連」という。)の加盟国である。また、 これら4国は、いずれも1969年の条約法に関するウィーン条約(以下「条約法条約」という。) についていかなる留保も付さずに1980年から当事国となっている。また、P条約については、 A国、B国、C国及びD国のいずれにおいても、それぞれの国内手続が行われて批准がなされ、1 996年に効力が発生している。さらに、A国及びB国は、独立した年に国連に加盟するとともに、 ICJ規程第36条第2項に基づき、裁判所の管轄権を受諾する宣言を行ったが、B国は、「B国が 本質上自国の国内管轄内にあると判断する紛争」には、この選択条項受諾宣言が適用されない旨を 国連事務総長に通告している。 以上の事実を基に、以下の設問に答えなさい。 〔設問〕 1.B国は、α地域が自国領であると主張する観点から、国際法上いかなる議論が可能かについて 論じなさい。 2.A国は、α地域におけるB国との国境線の画定問題についてICJが判断を下すことはできな いと主張するために、国際法上いかなる議論が可能かについて論じなさい。 3.C国は、条約法条約の適用上、P条約との関連でD国といかなる条約関係を主張することが可 能かについて論じなさい。 4.A国は、自国正規軍の増員をP条約違反に問われないために、国際法上いかなる議論が可能か について論じなさい。 5.A国は、α地域におけるB国の軍事行動が国際違法行為であることを主張するために、国際法 上いかなる議論が可能かについて論じなさい。 論文式試験問題集[国際関係法(私法系)] [国際関係法(私法系)] 甲国籍のA女は、1987年に甲国P州で生まれ、その後も2009年まで同州にのみ居住して いた。Aの親族は、現在まで同州に居住している。甲国籍のB男は、1987年に甲国Q州で生ま れ、その後も2011年まで同州にのみ居住していた。Bの親族は、現在まで同州に居住している。 A及びBは、2009年に甲国Q州において、いずれも22歳で婚姻して、Aは同州に転居した。 婚姻から約1年後の2010年に同州において、AB間に子C(甲国籍)が生まれた。Cの出生か ら更に1年間、A、B及びCは同州に居住していた。Bは2009年に同州の大学の日本語学科を 卒業後、同州内の地元企業に就職したが、2011年に日本企業に転職し、就業場所が東京となっ たことから、A、B及びCは同年に来日し、現在まで日本で生活を営んでいる。Aは、日本の大学 に甲国語の語学教師として常勤しており、Cは、日本の公立学校に通学している。Cが6歳になる 2016年頃から、Bは、A及びCに対して日常的に暴力を振るうようになり、これによりAB間 の婚姻関係は実質的に破綻し、AとBは翌2017年から別居して、それ以降はAがCを監護して いる。A及びBは、それぞれ今後も日本での生活を継続する予定であり、甲国に帰国する意思はな い。 別居から約5年後の2022年に、Aは、Bとの離婚等を求めて、日本の家庭裁判所に調停を申 し立てた。その後、調停は不成立となり、Aは、Bの暴行等により婚姻関係が破綻したと主張して、 Bを被告として、離婚及びCの親権者をAと定めること、並びに離婚せざるを得なくなったことに ついての精神的苦痛に対する慰謝料200万円及びBの暴行についての精神的苦痛に対する慰謝 料100万円の合計300万円の支払を求める訴えを提起した。 なお、甲国は、P州、Q州を含む複数の州から成る地域的不統一法国であり、州ごとに民法の内 容が異なる。甲国P州民法は、①年齢18歳をもって成年とすること、②離婚をするときは、未成 年の子の親権は父母が共同して行う旨の規定を有している。甲国Q州民法は、①年齢20歳をもっ て成年とすること、②離婚をするときは、未成年の子の親権は父のみが行う旨の規定を有している。 また、甲国には、甲国人が甲国内のいずれの州に属するかを示すような属人法の決定基準として用 いられる統一的な準国際私法の規則は存在しない。 以上の事実に加え、本件において日本の裁判所に国際裁判管轄権が認められること及び日本の国 際私法の観点からみてAB間の婚姻が有効に成立していることを前提として、以下の設問に答えな さい。
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