令和3年 司法試験 論文式試験 倒産法 第2問
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〔第2問〕(配点:50) 次の【事例】について,以下の設問に答えなさい。 なお,解答に当たっては,文中において特定されている日時にかかわらず,試験時に施行されて いる法令に基づいて答えなさい。 【事 例】 A株式会社(以下「A社」という。)は,リゾートホテルの運営と別荘の販売を業とする株式 会社であり,平成10年の創業以来,積極的に事業を展開してきたが,借入金により大規模な投 資をした直後,新型の感染症の影響を受けて売上げが激減し,借入金の元利金支払に窮するよう になった。そこで,A社は,令和3年5月6日,B地方裁判所に再生手続の開始を申し立てたと ころ,同日,Cを監督委員とする監督命令が発せられた。 裁判所は,令和3年5月31日,A社について再生手続開始の決定をした。再生債権の届出を すべき期間は同年6月30日まで,再生債権の調査をするための期間は同年8月2日から同月9 日まで,再生計画案の提出期限は同月31日とされた。 〔設 問〕 以下の1から3については,それぞれ独立したものとして解答しなさい。 1.Dは,令和3年4月1日,A社が運営するリゾートホテルで同年12月4日にEとの結婚披 露宴を開くこととし,割安な全額前払プランを選択してA社と契約を締結した。Dは,同年4 月16日に料金の全額110万円を一括して支払った。 Dは,A社の再生手続において,自らの債権をどのように届け出るべきか,説明しなさい。 なお,解答に当たっては,1Dが有する権利がなぜ再生債権となるか,2A社について開始さ れたのが破産手続であり,その開始決定までに全ての事業を廃止していた場合との届出内容の 相違についても,言及しなさい。 2.A社は,令和3年8月30日に再生計画案を提出し,同計画案は,同年10月27日の債権 者集会において可決され,同年11月29日には裁判所による再生計画の認可決定が確定した。 ところが,令和4年2月1日になって,A社の株主で代表取締役でもあるFが,民事再生法 第172条の3第1項第1号所定の再生計画案の可決要件を確実に満たすことを目的として, A社従業員であるGら10名に命じ,A社に対する債権を有していないにもかかわらず債権を 有しているものとして再生債権届出書を提出させ,債権調査においてA社がこれらの債権を認 めていたことが判明した。そこで,監督委員Cが調査した結果,Gら10名を除いても,A社 の再生計画案に同意した議決権者は,議決権者の半数を一人だけ上回っており,可決要件を満 たしていたことが明らかになった。ただし,同意した議決権者の中には,Fが虚偽の債権の届 出を従業員に命じたことを債権者集会の際に知っていれば再生計画案に同意しなかったと回答 する者が2名いた。上記の調査結果を記載したCの報告書は,令和4年4月1日,再生債権者 に送付された。 再生債権者であるHは,Cの上記調査報告書により事情を初めて知り,令和4年4月30日, 再生計画の取消しを申し立てた。A社の再生計画には,法定の取消事由があると認められるか, 論じなさい。また,仮にこれが認められる場合に,裁判所はどのように判断すべきか,論じな さい。 なお,Hによる前記の申立てまでの間,再生計画はA社により滞りなく履行されており,今 後も,その履行を継続することが可能な状況である。 3.A社の再生計画に対する認可決定が確定した後,A社からの報告により,A社の収支が改善 せず,逆に大きな損失を出してしまい,もはや再生計画に基づく弁済を継続していくことがで きなくなったことが判明した。この場合,裁判所はどのように対応すべきか,説明しなさい。 論文式試験問題集[租 税 法]