令和元年 司法試験 論文式試験 環境法 第2問
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〔第2問〕(配点:50) Aは,B県に所在し,エアコンやテレビ等の使用済み家庭用電気機器(以下「家電機器」とい う。)を集めて,その中から金属類を取り出し,再資源化する業者である。Aの再資源化工場は田 地を転換して建設したものであって,周囲は今も田地であり稲作が行われている。 〔設問1〕 Aは,家電機器を解体する際に生じる大量の廃プラスチック片を,今までは廃棄していたが, これを再資源化することを思い付いた。しかし,廃プラスチック片には有害物を含む多くの不純 物が混ざっており,そのままでは資源として使うことのできない性質のものであった。そのため, 再資源化のためには特殊な加工が必要であり,かつ,資源として使用可能なものは,廃プラスチ ック片の全体量のほんの一部にすぎなかった。そこで,自ら再資源化のための加工設備を持って いなかったAは,別の再資源化業者Cに費用を支払って廃プラスチック片の加工を委託した。C はAから受け取った廃プラスチック片を他の者から入手したものと混同させることなく加工し, 資源として使用可能になったプラスチックのペレットを,廃プラスチック片の加工から生じる残 渣とともにAに引き渡すこととした。 AがCに廃プラスチック片の加工を委託することについて,廃棄物の処理及び清掃に関する法 律上,どのような考慮が必要か。AがCに委託することなく自ら廃プラスチック片を加工処理す る場合との異同を念頭に置いて論じなさい。 〔設問2〕 (1) Aは,自らの再資源化工場の処理能力を超えて家電機器を集め続けていたため,Aの工場敷 地内には,解体されないままの家電機器が山積みになっていた。そして,Aによる家電機器の 保管が適正ではなかったため,人の健康又は生活環境に係る被害が生じ得る状態にある。B県 知事がAに対して採り得る措置について論じなさい。 (2) その後,Aの工場敷地内で山積みになっていた家電機器は更に放置され,再資源化のための 処理がなされないまま,原形をとどめない程度にまで劣化・変色し,その下から液体が染み出 して,Aの工場に接する農業用の用水路に流れ込んでいる状態になった。Aの工場敷地内に放 置された家電機器は,鉛,水銀,アンチモン,砒素,カドミウム等の有害物質を含むものであ り,Aの工場の周囲の田地で稲作に従事している農家のDらは,染み出している液体に含まれ る有害物質が生育中の稲を汚染することを危惧し,B県の環境担当部局に相談した。この場合, B県知事としては,Aに対してどのような措置が採れるか,また,DらはAに対して,いかな る法的請求が可能かを論じなさい。 論文式試験問題集[国際関係法(公法系)]