平成27年 司法試験 論文式試験 国際関係法(私法系) 第2問
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〔第2問〕(配点:50) Xは,日本に主たる営業所を有する日本法人であり,Yは,甲国に主たる営業所を有する甲国法 人である。XとYは,それぞれの国において,化粧品を製造・販売している。 〔設 問〕 1.Yは,日本の市場に初めて進出するに際し,自社製品と近い商品を扱っているXが日本の顧 客から注文をとる代理人として適切であると考え,Xとの間で次の趣旨の合意を含む委任契約 を締結した。すなわち,「Xは,日本における顧客との間で,Yの名前と計算により売買契約 を締結する」,「Yは,その商品を顧客に直接送付し,その代金のうちから手数料をXに支払う」 というものである。XとYは委任契約の準拠法として甲国法を選択したものとして,次の問い に答えなさい。 (1) XとYとの間において,Xが代理権を有するか否かは,いずれの国の法で判断すべきか。 (2) 日本における顧客である小売業者Tとの間でXがした売買契約の効力がYに及ぶか否かは, いずれの国の法で判断すべきか。 2.その後,日本の市場において自社製品が知られるようになったために,Yは,自社製品を日 本において大量に販売すべく,Xとの間で次の趣旨の基本契約を締結した。すなわち,「Yは, Xに対して,Xの名前と計算によりYの製品を日本において販売する権利を許諾する」, 「Yは, 10年の期間,日本においてはXのみを販売店とし,X以外の者を販売店とはしない」,「Xは, この基本契約に基づいて締結される個別の売買契約に従い,Yから商品を購入する」というも のである。しかし,数年後,Xの販売実績に不満を持ったYは,日本に主たる営業所を有する 日本法人Wを日本における販売店に加えた。国際物品売買契約に関する国際連合条約の適用は ないものとして,次の問いに答えなさい。 (1) Xは,Wを販売店に加えることはXに日本における独占的販売権を認めた基本契約上の債 務の不履行に該当するとして,Yに対して損害の賠償を求め,日本の裁判所に訴えを提起し た。 ア.XとYとの間に国際裁判管轄につき合意がなかった場合において,日本の裁判所の国際 裁判管轄権を基礎付ける事由を1つだけ挙げなさい。なお,Yは,日本に営業所や財産を 一切有していないものとする。 イ.XとYとの間に,「本契約から発生する全ての紛争は,甲国裁判所が国際裁判管轄権を 有する」との書面による合意があったとする。日本の裁判所は国際裁判管轄権を有し得る か。 (2) Xは,Yが日本におけるXの独占的販売権を侵害したとして,Yに対して不法行為に基づ く損害賠償を求めている。XとYが基本契約の準拠法として甲国法を選択していた場合に, この不法行為に基づく損害賠償請求には,いずれの国の法が適用されるか。