平成27年 司法試験 論文式試験 環境法 第2問
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〔第2問〕(配点:50) A社は,B県内の土地(以下「本件土地」という。)を所有している。本件土地では長らくC社 が化学工場(有害物質使用特定施設が設置されている。)を操業していたが,A社は本件土地をC 社から2013年に購入した。その後,A社は同工場を自ら操業することなく閉鎖した。ところが, A社が同工場を解体して本件土地を更地にした際に土壌汚染対策法第3条第1項に基づく調査をし たところ,砒素による汚染が発見された。調査を受託した会社によれば,砒素による汚染の程度は, 土壌汚染対策法第6条第1項第1号の環境省令で定める基準を超えていた。この汚染はC社の化学 工場の操業によって発生したものと考えられる。C社は汚染のおそれを認識していたため,A社の 本件土地の購入価格はその市場価格よりも著しく安かった。本件土地の西隣にはD井戸があり,住 民E及びFが飲用に供してきた。A社から本件土地の汚染について報告を受けたB県知事が2014 年にD井戸を調査したところ,水質汚濁に係る環境基準の1000倍の砒素が検出された。 この場合において,以下の設問に答えよ。 〔設問1〕 B県知事は,誰に対してどのような法的措置を講ずることができるか。 〔設問2〕 D井戸から西に100メートルのところにG井戸がある。本文において,B県は2010年の 時点で,法定の水質汚濁状況の監視作業を通じて,G井戸から水質環境基準の100倍の砒素が 検出された事実を把握していたとする。しかし,B県はこれを自然由来の局所的汚染であると即 断し,近くにD井戸が存在している事実を把握していたにもかかわらず,更なる原因究明のため の調査も付近の井戸の調査も行わず,また,周辺住民への周知もしなかった。本文における 2014年のD井戸の調査結果を踏まえ,更にB県知事が調査した結果,2015年になって, D井戸にもG井戸にも本件土地からの汚染が広がっていたことが判明した。EはD井戸の水を長 年飲んだことによって末梢神経に異常をきたしており,また,そのことを知ったFは自分もいつ 発症するかと考え不安な日々を送っている。この場合において,E及びFは,誰に対してどのよ うな請求ができるか。なお,時効については考えなくてよい。 論文式試験問題集[国際関係法(公法系)]