平成24年 司法試験 論文式試験 国際関係法(公法系) 第2問
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〔第2問〕(配点:50) A国にあるB国大使館が,同大使館の敷地内に通常大使館にはあり得ないような遊戯施設を建設 して,A国に在留するB国民に開放した。A国は,そのような遊戯施設は,外交機能に関わるもの ではなく,大使館の敷地内の建造物であるとはいえ,不可侵は認められないと主張している。 ところで,B国は,当該遊戯施設を建設するに当たり,A国法人である甲建設会社(以下「甲」 という。)と契約して建設を委ねた。建設が終了して建造物がB国に引き渡されても,B国は,契 約にあるとおりの建設代金を甲に支払わないでいる。そこで甲は,B国を相手としてA国の国内裁 判所(以下「A国裁判所」という。)に,建設代金の支払を求める訴えを提起した。B国は,主権 免除を理由として,A国の裁判管轄権は及ばないと主張した。A国裁判所は,B国の主権免除の主 張を認めず,B国に対して不履行となっている代金債務の支払を命じ,判決は確定した。しかし, B国は,代金を支払わないでいる。 さらに,この遊戯施設で,小規模な火災が発生した。そこで,A国警察は,火災現場の実況見分 を求めた。 その後,B国大使館のある地域で大規模な災害が発生した。このためB国は,当該遊戯施設をB 国民だけでなく,全ての者に開放して避難所としての利用に供した。また,人命救助や復旧の目的 で,A国の同意を得てB国から軍隊を派遣し,B国大使館の敷地内での人命救助や損壊している建 物などの復旧に従事させた。ところが,B国軍隊による人命救助や復旧活動が行われている際に, B国軍隊が操作していたクレーンが倒れるという事故があり,この事故により遊戯施設に避難して いたA国民である乙が傷害を負った。乙は,B国を相手として,A国裁判所に損害賠償を請求する 訴えを提起した。 以上の事実を踏まえて,以下の設問に答えなさい。 〔設 問〕 1.遊戯施設を建設した甲がB国を代金債務の支払を求めて訴えた裁判で,A国裁判所は,B国 の主張する主権免除を認めなかったことについて,あなたの評価を述べなさい。 2.A国裁判所は,B国に対して代金の支払を命じた判決に基づき,B国大使館がA国内の銀行 に開設している銀行口座を差し押さえることができるか論じなさい。 3.A国警察から火災現場の実況見分を求められたことに対して,B国は不可侵を理由にこれを 拒否できるか論じなさい。 4.B国軍隊の行為により傷害を負った乙が,A国裁判所に,B国を相手として損害賠償を請求 する訴えを提起しているが,裁判管轄権について,A国裁判所は,どのような判断を下すと考 えるか論じなさい。 論文式試験問題集[国際関係法(私法系)]