平成24年 司法試験 論文式試験 国際関係法(公法系) 第1問
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〔第1問〕(配点:50) X国は,国内法で基線から12海里までを領海,24海里までを接続水域,200海里までを排 他的経済水域(以下「EEZ」という。)と定め,各海域に対して適用される国内法令を制定し, 施行した。X国は,同国EEZ内での漁業活動を許可に基づき外国人にも認めている。他方,X国 は,関税に関する限り,領海及び接続水域だけでなくEEZの海域をも同国関税法の適用区域と定 め,漁船燃料用の軽油の無許可での持込み及び販売を禁止し,違反者に重い罰則を科すことを定め ていた。X国は,海洋法に関する国際連合条約(以下「国連海洋法条約」という。)批准時に「国 連海洋法条約第56条に定める沿岸国の主権的権利及び管轄権には,排他的経済水域における外国 船舶の商業活動に対する関税法の適用が含まれる。」という宣言を付した。 Y国の登録船舶A号,B号及びC号は,X国のEEZ内で操業する漁船に対して漁船燃料用軽油 を販売することを目的とした船舶であり,A号は,X国基線から11海里の海域で漁業活動中でな い漁船に漁船燃料用軽油を販売しているところをX国沿岸警備当局の巡視艇に発見され,関税法違 反で拿捕された。また,B号は,基線から20海里の海域で,C号は,基線から100海里の海域 で同様の販売行為により拿捕された。これらの船舶及び乗組員は,X国の港に連行された後,関税 法違反で起訴され,司法手続においてそれぞれ有罪を宣告され,漁船燃料用軽油は没収された。 以上の事実を踏まえて,以下の設問に答えなさい。なお,X国とY国は,共に国連海洋法条約の 当事国である。また,国連海洋法条約第292条に定める迅速な釈放の問題には触れなくてよい。 〔設 問〕 1.X国が国連海洋法条約批准時に付した宣言の国際法上の効力について説明しなさい。 2.X国によるY国の登録船舶A号,B号及びC号に対する各措置について,国際法上どのよう に評価できるか,沿岸国が領海,接続水域及びEEZのそれぞれにおいて有する管轄権の違い を踏まえて,説明しなさい。 3.Y国の登録船舶C号に関する事件をX・Y両国は,合意により国際海洋法裁判所に付託した。 Y国の請求は,海洋の使用に対するY国の自由及びX国関税法に服さないY国の権利が侵害さ れたことの宣言と,これらの侵害から生じたY国の損害の賠償を求めるものであった。本件が, 国連海洋法条約第295条に定める,「国内的な救済措置を尽くすことが国際法によって要求 されている場合」に当たらないとすれば,それはどのような理由によるものかをY国の請求内 容から説明しなさい。